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台湾の228事件で家族が犠牲になったと…

 台湾の228事件で家族が犠牲になったと認定するよう訴えていた与那国島出身の遺族らが、断念を決めた(本紙14日付9面)。精神的な負担などを考慮してのことである▼認定を阻む最大の壁となったのは死亡診断書だ。死因が「マラリア」とされ、死亡時期も同事件とは大きなズレがある▼ある町民は最近、筆者に対して「当時、台湾で亡くなるというのは不名誉なことだったのかもしれない」と語った。このため、台湾とは無関係な死亡診断書が意図的に作られたという見立てだ▼台湾での混乱が招いた死が当時どのように受け止められていたのか。八重山と台湾の間で友好関係が築かれてきた今、75年以上前の悲報が広げた波紋を忠実に描き出すことは容易ではない。しかし、たとえ推測であっても、リアルに接近していく努力はしてみなければという気持ちになる▼遺族によれば、墓には、お骨の代わりに石を入れてある。このうちの1カ所は筆者も実際に拝見した。確かに、骨壺にお骨はなかった▼台湾側があくまで書類で審査を進め、遺族は「遺骨がないのは、死因がマラリアではないから」と主張し、墓を見にきてほしいと訴え続けた。結局、双方の間に対話らしい対話はなされずじまいだった。真相究明に向けた遺族たちの営みは今後も続く。(松田良孝)

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