八重山諸島のニュース・石垣島・竹富島・西表島・新城島・小浜島・鳩間島・黒島・波照間島・与那国島

エントリー

映画「硫黄島からの手紙」(2006年)を…

 映画「硫黄島からの手紙」(2006年)を見た。20年近く前の作品を今になって見てみる気になったのは、石原俊著「硫黄島」(中公新書、19年)でひとつの視点に気付かされたからだ▼本書は「―の手紙」を硫黄島の住民に着目して取り上げている。この点を意識してみると、硫黄島の集落を日本兵が行進し、住民が「日の丸」を振ったり、「ばんざい」「頑張って」と声を掛けたりするシーンに目が向く▼ほどなくして、兵士たちが集落で住宅を解体する場面になった。のちに、攻撃で施設が吹き飛ぶシーンがあり、かつて住宅に使われていた材木が施設へとリサイクルされ、結局、破壊されたのだろうか、とイメージが膨らむ▼この島に人が住んでいた―。いくつかの短いカットが頭に刻まれる▼石原氏は本書で「沖縄戦は住民を巻き込んだ唯一の地上戦だった」という表現などを挙げ、硫黄島の地上戦で住民が巻き込まれた「事実をかき消してしまう」と述べる。硫黄島の住民たちは、あるいは地上戦に巻き込まれ、あるいは強制的に疎開させられた▼八重山平和祈念館で企画展「強制疎開―八重山と小笠原・硫黄島―」が開催中だ。企画の趣旨を説明した石原氏の寄稿(本紙6日付7面)を読むと、硫黄島との距離がぐっと近づくように感じられる。(松田良孝)

※本コメント機能はFacebook Ireland Limitedによって提供されており、この機能によって生じた損害に対して株式会社八重山毎日新聞は一切の責任を負いません。

関連するニュース

  • 関連するニュースはありません。

ページ移動

キーワード検索フォーム