八重山毎日新聞社

　先日、沖縄本島で日本初記録の野鳥シロアゴヨタカが見つかった。外見は本州で繁殖するヨタカと酷似。当初は先入観もあり、識別は困難だったが、これを見破ったのは人工知能（ＡＩ）を搭載した野鳥識別アプリだ▼数日後、沖縄野鳥の会の山城会長から「見に来ないか」と誘いがあった。仕事を終えると慌てて最終便に飛び乗り、現地の友人と徹夜の捜索。その日の仕事に間に合うよう始発であわただしく帰島した▼世界はＡＩ花盛り。マイクロソフトの株価は今月、時価総額3兆㌦（440兆円）を突破。同社はＣｈａｔＧＰＴを生み出したＯｐｅｎＡＩ社と独占的な業務提携をしており、市場のＡＩへ対する期待が現れた形だ▼ＡＩの発展は目を見張るものがあり、ソフトバンクグループの孫正義氏に「（使ったことのない人は）人生を悔い改めた方がいい」と言わしめるほどだ▼芥川賞もＡＩに書かせる時代。「なぜ人間は自然を破壊するの？」と質問してみると「欲望や無知、無関心、短期的な利益優先など心理的な要因が背景にある」と返ってきた▼シロアゴヨタカのために北海道の友人は6万円かけて来沖。筆者も無事に観察できた。胸打つ感動体験は、現地へ足を運んでこそ、仲間と分かち合ってこそだ。いつまでも自然豊かな沖縄であることを願う。（立松聖久）