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石垣市内に住むAさんから電話があった。…

 石垣市内に住むAさんから電話があった。台湾の結婚披露宴に持参するご祝儀の相場が知りたいという問い合わせであった。筆者は台湾に拠点を構えてはいるものの、慶弔の類を熟知してはいない。台湾人の知人におおまかな額を教わり、Aさんに電話を折り返した▼石垣島には台湾出身者を親に持つ2世の人たちが多数暮らす。Aさんもそのひとりである。台湾の親類が挙式するということでお呼ばれとなったそうだ▼親類とはいえ言葉の壁があり、頻繁に行き来するわけではない。しかし、節目には「家族」の一員として外国から招かれる。思いがけない瞬間に、自らのルーツが海外にあることを思い出させられる暮らしだ▼別の日、Aさんの義兄からメールがあった。Aさんと同じ宴に出席するために台湾に行くとのことで、「どこかで一献いかがですか」とのお誘いだった▼披露宴が予定される年明け1月のそのころ、筆者はあいにく日本で過ごす予定だ。惜しいことだが、お断りせざるをえない▼旧暦を大切にする台湾は、旧正月に向かって赤を基調にした飾り付けで町が華やぐ。来年の旧1月1日は2月10日だ。1月下旬ともなれば、すっかり春節ムードだろう。祝宴に加えて、2度の正月気分までとは、なんともぜいたく。ついうらやましくなる。(松田良孝)

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