八重山毎日新聞社

　好物のヤギ汁を義父にもらった。汁も肉もたっぷり。これなら二食分いける。最初はそのままヤギ汁で、次はヤギそばで、と楽しみにし、ヤギ汁に相性抜群のフーチバー（よもぎ）を大量に確保して準備万端だった▼ところが翌朝。鍋のふたをあけてみると、汁の表面に泡がわずかにポツポツ。もしかして。鼻を近づける。少し、すえた臭い。「あんま、しーてるかも（しまった、腐っているかも）」▼望みをつないで、あちらしてみる（加熱してみる）。すこし冷ましてから、さじで少しすくって口に入れる。やっぱり酸味は残っていた▼「うぬあたいや、ちけーねーん（これくらいは、さしつかえない）」。そのとき、亡き祖母が言っていた言葉がよみがえったが、いーや危ない、と思いとどまり、断腸の思いで廃棄した▼もらったときは、おいしかった。少し煮詰まっていたのか塩味が強かったので水を入れて調整し加熱した。そこまではよかったが、そのまま翌朝まで放置していたのがよくなかった。冷ましてから冷蔵庫に入れるべきだった▼南国の八重山も秋の気配を感じられるようになっている。秋の味覚とか、食欲の秋とか言われる。運動会シーズンでもある。運動会と言えば、家族や親戚で囲む弁当が一番の楽しみ。くれぐれも温度管理など衛生管理は徹底を。（比嘉盛友）