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政治家「なぜこの記事を書いたのか。私は…

 政治家「なぜこの記事を書いたのか。私は発言すらしていない」。記者「取材拒否するから周辺取材と状況をまとめた」。政治家「方針を示していない」。記者「だから…」▼延々と続くこの応酬は、政治家と記者間で起こりそうなトラブル。記者の醍醐味(だいごみ)でもあるが体力を使って疲れる。こういう時は古典作品を読み心を落ち着かせる▼オノレ・ド・バルザック著「ジャーナリストの生理学」(鹿島茂訳)。19世紀フランスを舞台に、メディア関係者を嘲笑した文豪バルザックさんの書きぶりが光る。こんな一節がある。「抹殺したいと思っている代議士」(なんと恐ろしいことよ)。当時の国会記者はこう書いた▼「おもむろに演説を始めたが、記者のいた席から遠いうえ、声がか細く、よく通らないばかりか、南仏なまりかアルザスなまりと思われる方言のため―あるいは議場の騒音で―終始聞きとれぬまま終わった」▼この記事は方言や声の印象を全て政治家の悪徳として集約、現代ではまねできない雑感だ。政治家と記者の話に戻るが、結論として「19世紀フランスの記者よりはまとも」とでも主張しようか▼さてこのほど、全ての取材を拒否する首長が誕生した。取材拒否は公的機関として職責を果たしていない。理由も言わない。何を考えているのか。(玉津盛昭)

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