八重山毎日新聞社

　例えば、釣ったか買ったかもらったかして魚1匹あったとする。さてどうやって食べようか。煮てもいいし、焼いてもいい、刺し身にしてもいい。でも、刺し身は三枚におろすのが、焼きは火の管理が、面倒だ。一番簡単に調理できるのは、水に塩を入れるだけのマース煮▼そのほうが、頭や骨をチューチュー吸いながら身をきれいに食べられる。でも、あるときから、もったないと思うようになった。煮汁は塩味が強いので飲むわけにはいかず、たっぷりのだしとゼラチンを捨てていたから▼そこで、ちょっと大げさだが、ひらめいた。塩を入れずに水だけで煮て、火が通ったら魚を取り出し、しょうゆなどをかけて食べ、残った汁をだしに使う▼そのだしに香味野菜や豆腐、わかめなど好みの具材を入れてみそ汁にする。すでに知られていることかもしれないが、われながら良いアイデアだと思って実践している▼一匹の魚が煮物と汁物になる。一石二鳥。人類がこの地球で暮らし続けていくために2030年までに達成しようと、国連が定めている持続可能な開発目標「ＳＤＧｓ」も実践しているのではないか▼調べてみると、ＳＤＧｓ17の目標の中に「天然資源を持続的に管理し、効率よく使えるようにする」などとある。自信を持って勧めたい。（比嘉盛友）