八重山毎日新聞社

　勇気と友情が織りなす感動の物語。劇団四季「ガンバの大冒険」が石垣にやってくる▼チケット販売初日、夜明け前の午前５時から並ぶ人々の姿が、この作品への熱い思いと期待を物語っている▼主人公は、小さな体に大きな夢を抱くネズミのガンバ。遠く離れた「夢見が島」で、仲間たちが危機にひんしていると知ったガンバは、意を決して冒険の旅に出る。凶暴なイタチ「ノロイ」との戦いに身を投じる彼の姿に、観客は固唾（かたず）を飲んで見入ることだろう▼舞台で繰り広げられる世界は、まさに息をのむような美しさ。劇団四季ならではの細やかな演出と躍動感あふれる音楽が織りなす空間で、個性豊かな動物たちが生き生きと物語を紡ぐ。色鮮やかな衣装と巧みな舞台装置が創り出す幻想的な世界は、見る者すべてを魔法にかけるかのようだ▼初演以来、世代を超えて愛され続けているこの作品は、国際児童年特別アンデルセン賞に選出された原作の魅力を余すことなく表現。小さな子どもから大人まで楽しめる舞台となっており、家族で共有できる感動の時間を約束する▼ガンバと仲間たちが見せる真摯（しんし）な姿は、私たちの心に確かなメッセージを残すはずだ。勇気を持って立ち向かうこと、仲間を思う気持ち、そして何より命の輝きの素晴らしさを教えてくれる。（立松聖久）