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誰もが思ったとおりだった。有事を想定した…

 誰もが思ったとおりだった。有事を想定した国民保護図上訓練である。検証を重ねれば重ねるほど次々に課題が顕在化し、困難さがより浮き彫りになってゆく▼県主催の訓練は国、県、市町村や輸送機関などが参加。八重山住民6万人の島外避難の具体化、要配慮者への対応を中心に検証した▼なかでも島々の人口より多い牛や豚、鶏など家畜の対応。石垣で6万4千頭近く、三市町で7万1289頭。「農家の財産」をどう避難させるか。昨夏の石垣市での住民説明会では船舶輸送の考え方が示され、誰もがその非現実性に首をかしげた。今回、農水省担当者は「数万頭の牛をすべて島外に避難させるのは率直に言って現実的でない」と。思ったとおりだ▼家畜を島内避難させるにしても放牧地の確保、逸走防止、採食飲水施設整備が求められ、無人で管理できるか、これまた疑問▼旧伊原間牧場で4年前、個体識別番号がない「のら牛」が繁殖し、猟銃による駆除騒ぎとなったことは記憶に新しい。人の手がなければ家畜は食糧を求めて野生化する。「野良の島」など、誰も想像したくないはず▼島外避難の住民は島に戻れるだろうか、島は荒れ果てていないか。外に逃げるも内にとどまるも誰もが思うとおり、われらの明日は困難だらけである。そんな有事は嫌だ。(慶田盛伸)

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