昨年12月、ポックスウイルスによる皮膚感染症の…
- 2025年01月17日
- 不連続線
昨年12月、ポックスウイルスによる皮膚感染症の伝染性軟属腫の治療薬が新たに承認された。有効成分は「カンタリジン」でツチハンミョウの持つ猛毒として以前から知られていたものだ▼強力な抗がん作用を示す「イリオモテオリド―1a」は西表島近海に生息していた渦鞭毛藻から発見された海洋天然成分で世界中の化学者から注目を浴びていた。昨年10月に17年にわたって未解明だった構造が判明し、合成に成功したと発表された▼同じ月には、人間の冬眠に生かせる可能性のある仕組みがコウモリの赤血球で発見された。人工冬眠によって、人類が火星へ到達することも夢ではなくなるかもしれない。宇宙分野や医療への期待も高まる▼イボから日本人の2人に1人がかかるといわれるがんの治療、壮大な宇宙開発まで、一般には取るに足らないと思われている小さな生物のおかげで活路が見いだされている▼身近なところでは、食卓に並ぶものもほとんどが生物由来。バイオミミクリー(生物模倣)では、さまざまな工業製品に生かされている。今や誰も疑うことのない生物多様性の恩恵である▼八重山には、ここでしか見つかっていない生物が生息する。人類は生命を作り出すことはできない。絶滅したらそれで終わりだ。自然環境の賢明な利用が求められる。(立松聖久)
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