クワガタ捕り遭難続発 西表島
- 2024年11月15日
- 地域・教育
石垣島と西表島に生息するヤエヤママルバネクワガタが羽化する10月~11月に、規制がかかっていない西表島に島外からの採集者が集中している。クワガタを捕るため山に入り遭難事故も発生、地元のガイドや消防団が救助・保護する事態も起きた。これまで以上に問題が深刻化しているため、地元からは八重山で捕獲に対する規制を「統一してかけるべきではないか」と要望も出ている。
石垣島でヤエヤママルバネクワガタは「石垣市自然環境保全条例」に基づき捕獲・殺傷が禁止されている。採集者や昆虫マニアたちは、禁止されていない西表島で夜行性の同クワガタを捕獲するため、夜間に入山する。これまでは、定番のマーレーや相良といった場所がポイントだったが、ことしは島の東部・古見集落に近い前良や後良周辺からの入山も目立ち、採集ポイントが変化した。
夜の山道は方向感覚や位置情報が把握しにくく、一人で山に入った採集者が道に迷い遭難するケースも2件発生。無事に救助されているが、一歩間違えれば惨事につながりかねない。
採集者の中には宿泊業者を困らせる者もいる。夜になっても宿に戻らず、宿側が心配して林道まで捜しに行くことや、夜間採集を終えた採集者が昼間寝ぼけて部屋内で転倒し足にけがを負い、救急車で診療所に搬送される騒ぎも起きた。
地域住民からは、八重山地区でマルバネクワガタの採集を法律や条例で捕獲禁止の縛りをかけてほしいと声も上がっている。
竹富町自然環境保護条例で指定した希少野生動植物・特別希少野生動植物は持ち出しや採集が禁止されているが、町自然観光課の担当者は「ヤエヤママルバネクワガタは数が減っているなど指定の基準には達していないので、規制の対象にはならない」と認識を示した。
沖縄県も、県希少野生動植物保護条例に該当するほど希少性は高くないと現状を説明した。
与那国島にはヨナグニマルバネクワガタが生息しており、環境省の種の保存法で採集や国内取引が禁止されている。
八重山地域でみると、マルバネクワガタに関する採集の規制がかかっていないのは西表島のみ。今後も島に採集者が押し寄せて、さまざまなトラブルが起きないか住民たちは懸念している。
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