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連載【自衛隊南西シフト⑬】 3首長に聞く(中)

インタビューに応える糸数健一町長=2月27日、与那国町役場

インタビューに応える糸数健一町長=2月27日、与那国町役場

ミサイル配備を容認 受け入れ「町長権限」
糸数健一与那国町長

 与那国町の糸数健一町長は、同町へのミサイル配備に関し「必要だ」との見解を示した。町内へ新たな配備を容認するかどうかの判断は「町長権限の範囲内」として民意は問わないと明言。一方で、国から住民への説明は必要とした。与那国町で米軍との共同訓練などが行われる際は、今後も「(事前に町から)町民に知らせるつもりはない」と述べた。

◇   ◇

 ―新たな配備計画や訓練が今後、与那国町で行われるといった説明が防衛省からあった場合、議会や町民へ説明するか。

 「事前に町民の許可を得てから(国へ)許可するということは考えていない。任された権限の範囲内だと思っている。自衛隊の誘致活動もしてきたし、それを認めた上で(町長として押し上げ)許諾いただいていると認識している」

 ―与那国町へのミサイル部隊配備に対する町長の考えは。

 「沿岸監視部隊には、ミサイルを防ぐだけの能力はない。撃ち落とせる迎撃用の地対空ミサイルがあればなんとかなるのではという思い。町民の命を守るという意味で、町長としての立場からも必要だと思う」

 ―それでは、ミサイルを容認するという立場でよいか。

 「容認するが、町民に対して国家が説明責任を果たすよう強く申し入れている。保革関係なくミサイルに対する町民の拒否反応が非常に大きい。不安をなくすために新たな部隊をということなんだろうけど、それに対して大多数の町民の方は不安に駆られてしまう。不安を払拭するためにも説明会を求めている」

 ―与那国町で米軍との合同訓練や軍事力増強が行われる際は、町民に説明する必要があると思うか。

 「戦闘車が来ても、町民にいちいち知らせるつもりはない。リコールされても構わない」

―南西諸島への自衛隊配備が、他国から攻撃される可能性を高めているか。

 「逆だと思う。きちっと備えて憂いなくするのが大切。中国が、日本の先島を侵攻しかねない。すると、大変なリスクを背負うことになる。(防衛力強化は)それでも台湾侵攻するのかと思いとどまらせるための抑止力になると思う。丸腰では外交力も発揮できない現実がある」

 ―「台湾有事」で八重山・沖縄が戦場になる危機は迫っていると思うか。

 「私自身はめちゃくちゃ感じている。ただ、台風対策と同じで、巨大台風がそれてくれるかもしれない。だからと言って、備えは必要」

 ―「反撃能力」の保有は必要か。

 「必要だという考え。遅きに失するくらい」

 ―「反撃能力」の保有は、日本が維持してきた「専守防衛」の概念を逸脱すると思うか。

 「『専守防衛』という概念そのものが破綻している。ウクライナでも、核を手放した途端に、約束が破られ攻め込まれている。現実には、専守防衛の限界が来ていると思う」

(聞き手・三ツ矢真惟子)(随時掲載)

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