1日1万人、完了に10日 八重山住民避難で県試算
【那覇】県は21日までに有事の際の国民保護法に基づく住民避難で、民間の航空機や船舶を確保した場合、八重山から九州へ移動できる1日当たりの人数が最大約1万人、全住民の避難完了は9・6日と試算した。玉城デニー知事は「県の国民保護に対して関係省庁の特段の関与が必要」と述べた。
県は来年3月、武力攻撃事態を想定した国民保護図上訓練を行う予定。同訓練に向けて航空機や船舶の最大輸送力を試算した図上訓練案を、16日の県議会総務企画委員会で公表した。
県が想定する八重山地方の人口は5万5845人(21年1月13日時点)で、平時の那覇空港までの輸送力が1日当たり約5270人。竹富町と与那国町から石垣市に移動するケースでは、それぞれ1日約8千人、約150人と見込む。
輸送力を強化した場合、平時の約2倍の輸送人数となる。竹富町約8千人、与那国町約1300人が石垣市に移動、同市から1日約1万人を県外に運ぶ。避難先は空路で福岡空港、海路で鹿児島新港を想定する。ただ、県は与那国町からの空路避難、石垣港からの海路避難について「今後検討が必要」としている。
また県は宮古、八重山を合わせた先島地方の全住民(11万2548人)を九州に避難させるまでに1日当たり約2万5千人の輸送で9~10日かかるとも試算する。
16日の総務企画委員会で県の担当者は「石垣、宮古では9~10日かかる。民間の航空機、船舶を利用する形になるが、どう最大化するかも意見交換会で実施している」と説明した。
今後実施予定の図上訓練では先島諸島の避難を優先的に検討し、その成果を他市町村に展開する。事態認定前の初動時における組織体制や連携体制の強化、シナリオに沿った住民避難などを確認する予定。
玉城知事は20日、県政記者クラブの新春合同インタビューで先島地方の住民避難に言及し「国民保護を所管する関係省庁が輸送手段の確保、県の国民保護に対して特段の関与が必要。機会をみて議論を重ねたい」と述べた。
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