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夜も明けきらないころ、台所の「親子ラジオ」

 夜も明けきらないころ、台所の「親子ラジオ」から沖縄民謡が流れてくる。一番座に寝ていてもよく聞こえた。これで目覚めることもしばしばだった。でも起床には早すぎる。また眠りに就く。幼いころの日常だった▼台所のテーブルでは、祖母が親子ラジオに耳を傾けながら茶を飲み、たばこの「ハイトーン」をくゆらせている。当時は臭いともなんとも思わなかった▼テーブルの中央には大きなチューカー(急須)が鎮座する。中にはジャスミンの茶葉がたっぷり。いつも「かた茶」(濃い茶)だった▼ラジオからは、死亡した人の告別式の案内もアナウンスされる。文字が読めない祖母には貴重な情報源だったようで「えっ、あびらんこう」(おい、しゃべるな)と聞き耳をたてていた▼祖母が年をとってキビ刈りなどに行かなくなってからは十時茶と三時茶の時分に近くの親戚が訪れ、「茶かたさんやー」などと言いつつ、ゆんたくしていた。そこに居合わせると、「いったーばーばーや、はたらちゃー(働き者)やたんどー」と祖母の働きぶりを聞かされた▼そんな祖母や親戚はすでに鬼籍に入っている。祖母は夫と子ども3人をマラリアで失っているが、戦争体験を語ることはなかった。6月はそんな人たちに思いをはせる月でもあった。(比嘉盛友)

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