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鎮魂の月が往く。窓を開け放てば夏至南風

 鎮魂の月が往く。窓を開け放てば夏至南風(かーちーばい)がカーテンを揺らして駆け抜け、迎える盛夏を思う。77年前の戦争体験者は年々減り続け、「記憶の継承」が課題となっている▼私たちの先人は、戦後の混乱期にあっても叙情歌とぅばらーまに思いをのせ、戦世の悲哀を歌った。とぅばらーまが単に男女の愛情や心の揺らぎ、あるいは親子の情愛を描くものという短絡的な見方しかできなかった若い頃、戦世を厭(いと)い、あるいは呪うような内容の歌に衝撃を受けた▼「はこーなーばだぎ にたさがまらさぬ あったらくがねーま くぬようになりねーぬ」(遺骨の小箱を抱き 恨めしさ悲しさよ あたら黄金の子はこのようになってしまった)。出征した息子への思いが悲しい▼「かぎやうしゅばん くいやぬくり きゅーぬなままでぃん なさきばぬくし」(影は失せても声は残り 今日の今までも情けを残しているよ)。戦世に倒れた家族を慕う歌だろうか。耳に染まって離れない亡き人の情けを思う▼「いくさ くぬめーる んざ どぅ ばなあうらみ いくだ ばーふぁーや なままでぃん むどぅらぬ」(戦をたくらんだ奴を私は恨む 征った私の子は 今までも戻らない)。国家権力を「んざ」(奴)と呼ぶすさまじさ▼昭和61年、石垣市発刊の「とぅばらーま歌集」から引いた。(慶田盛伸)

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