国民保護計画 市、有事避難パターン公表
他国からの武力攻撃事態に備える国民保護計画に基づいて石垣市が作成した「避難実施要領のパターン編」が市ホームページ防災危機管理課内に掲載されていることが14日までに分かった。これまで非公開としていたが、ことし3月定例市議会の内原英聡氏の一般質問で公開する方針に転換していた。他国の着上陸侵攻に対し、全市民を島外へ避難させるのに民間航空機のみで10日以内と試算している。
避難実施要領のパターンは、武力攻撃事態など有事の際に住民の避難を円滑に実施するため避難の手段、施設、経路、誘導員配置などをあらかじめ作成しておくもの。
市は2019年12月に同編を作成。留意点として「国民保護法上、国民への適時適切な情報提供が定められているところであるが、避難誘導にあたっても、住民に可能な限り情報提供をしていく必要がある」「その際、事態の状況や住民の避難にかかわる情報のみならず、行政側の対応の状況についても、可能な限り提供することとする。それは、住民にとっての安心材料になるものである」と記述している。内原氏はこの間、公開の必要性を訴えていた。
パターンの例示として屋内避難は▽弾道ミサイル(通常弾道)、島内避難は▽ゲリラ特殊部隊による攻撃▽石垣港周辺へのミサイルによる攻撃▽上陸侵攻による攻撃▽石垣空港・石垣港へのミサイル・航空機攻撃、島外避難は▽着上陸侵攻―の事態を想定し、それぞれ対応を記述している。
このうち着上陸侵攻に対する島外避難パターン1では、某国の武装工作員による石垣島北部地域の海岸から侵入し、全島が制圧されるおそれがあるため、北部周辺地の住民や観光客らを一時避難所へ避難させ、場合によっては全市民を順次、島外へ避難させる事案を想定するものとしている。
例えば市民、竹富町民、観光客らを避難させる場合に輸送可能な人員から9・67日と試算。民間船舶を加えると短縮可能とする。一方で民間航空機や民間船舶の使用が不可能な場合、自衛隊のヘリ・航空機・船舶のみでの避難には数カ月を要するとしている。
その上で「全島民避難の最大の課題は避難者の優先順位。高齢者・入院患者・観光客・子どもなど災害時弱者を優先とするが、その後、行き先別・地域別等に振り分ける必要がある」としている。
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