沖縄の本土復帰50年とジャーナリズムを…
- 2022年05月30日
- 不連続線
沖縄の本土復帰50年とジャーナリズムをテーマにしたシンポジウム(日本ジャーナリスト会議沖縄主催)が28日に開かれた。NHK沖縄放送局のキャスター、内原早紀子さん(28)=石垣市登野城出身=が「当事者意識」ということを語っていた▼自身と同世代の人たちに取材したところ、「復帰は沖縄戦を語るぐらい遠い存在」と聞かされたという内原さん。「これからの沖縄を担う世代に、報道が届いていたのかと思わされた」と話していた▼こうした思いの土台には「当事者意識」がある。内原さんは、戦後八重山のマラリア対策に携わった故・本盛信雄さんのひ孫。取材者として曽祖父の仕事を知り、戦後の八重山移民の苦労に触れた▼観光地としての石垣島があるのは、かつてのマラリア対策があってこそと気付く。こうして自分のなかに当事者意識が養われた▼シンポでは、本土の学生が沖縄の状況を学ぶ難しさが指摘された。立教大の砂川浩慶教授は「学生が沖縄の問題をどう自分事にしたらいいのか分からなくなっている」と述べた▼基地問題から少し離れたところにも、沖縄を伝える手掛かりはある。八重山にそのヒントが潜んでいるのではないか。内原さんが当事者意識を手に入れていくプロセスに、復帰51年目からの可能性を感じさせられた。(松田良孝)
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