「漂着ごみ、年々深刻化」 山口防衛大名誉教授調査
長年にわたって八重山諸島の海岸漂着ごみの調査を行っている防衛大学名誉教授の山口晴幸氏(73)がことしも行った。3月から4月にかけて実施した結果、人の出入りの少ない海岸について「想像を絶する、漂着した海洋ごみで埋め尽くされている」と指摘、「これまでの調査状況から判断して海洋ごみの漂着は年々一層深刻化しつつある」として行政主体の回収除去作業への方針転換を求めている。東アジアからの漂着ごみが多いことから、軽減抑制策の国際的な枠組みを提案する。
八重山諸島の漂着ごみ調査はことしで25年目。昨年は新型コロナウイルス感染症の影響で中止した。ことしは3月21日から4月25日にかけ与那国、波照間、小浜、西表、黒島、竹富、石垣の7島の計45海岸21・77㌔でカウント調査を行った。
その結果、漂着ごみの90%以上は廃プラスチック類で、中国製が大半を占めるなど増加傾向にある。特に発泡スチロールブイやプラスチックブイ、ペットボトル、漁箱の漂着が一層深刻化しつつあり、海岸奥側への植生帯への食い込みや覆い尽くしが確認されたことから、「植生や土壌への影響をはじめ、そこに生息する生物への影響など海浜域の動植物生態系へのりすくが甚大化しつつある」と警鐘を鳴らす。
その上で山口氏は持続的な海岸保全システムの確立の必要性を強調。「献身的なボランティア活動を中心とした回収除去作業には限界があるように思われる」として、海岸管理者の県に対し国からの支援強化を求め、ボランティアの協力も得ながら市町村と連携した行政主体の持続的な回収除去作業を広域的に実施する方針に転換するよう求めている。
さらに、外国からの漂着ごみが多いことから「県や市町村が関連国と協議することには限界がある」として、県は国に対し漂着ごみ調査に関する情報提供を行い、東アジアを中心とした海洋ごみの軽減抑制対策に向けた新たな行動計画・協議会の設置を働きかけていくことが求められると訴えている。
一方、今回の調査では軽石の現存状況について目視観察も行った。7島70海岸を調査したところ、ほとんどの海岸で確認されたが、漂着ごみと同時に軽石も回収除去されたと思われる海岸が多くみられたという。
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