西表5エリアに人数制限 観光管理で具体案検討
奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島世界自然遺産地域連絡会議の2022年度第1回会議が20日、オンラインで開かれた。国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界遺産委員会が対応を求めている4項目のうち西表島を名指しで指摘している観光管理について、エコツーリズム推進法や自然公園法による利用者数制限を検討した。遺産地域内でのエコツアーは年間7万人程度を想定。希少生物の生息地で人が集中する5エリアで、1日当たりヒナイ川で200人以下、西田川で100人以下、古見岳で30人、浦内側源流域で50人、テドウ山で30人としている。
そのほかのフィールドでも場所、アクティビティごとに1事業者・ガイド当たりの客数上限などを設定する。また、遺産地域内での利用場所は、2019年時点の20カ所以上に増やさないとしている。
遺産地域外でも▽年間入域観光客数を前年比で1割以上増加させない▽1日当たりの入域観光客数を1200人以下に制限する―などの管理基準を示した。
遺産外の具体的な管理基準や管理方法は今後、竹富町観光振興基本計画の見直しや利用者負担の仕組み導入に向けた検討と合わせて次年度までに実施していく。
ロードキル対策については環境省が中心となり、4島全体のロードキル発生状況についてまとめていくほか、これまでの対策の実施状況と効果検証を行い、ロードキル対策の問題点や課題を明確化し、有識者の意見などを踏まえながら取り組みを推進する。
沖縄本島北部や奄美大島などで課題となっている河川再生と森林管理の指摘事項への対応も確認された。
会議に参加した同科学委員会の委員長・土屋誠琉球大学名誉教授は「ユネスコからの指摘は観光客の訪問レベルを現在のレベルに制限するか、現在より減少させることだ。さらなる具体性を示す必要がある」と強調。ロードキル対策には「交通管理措置の有効性を見直すよう言われている。どのように見直したか示す必要がある。アマミノクロウサギの事故は減少していない。イリオモテヤマネコやヤンバルクイナの事故は変動している。要因を解析すれば具体的な対策が取れる」と指摘した。
ユネスコ世界遺産委は昨年7月の登録決定に際し、観光管理、ロードキル対策、河川再生、森林管理の4項目を要請、今年12月1日までの対応を求めている。会議では4項目への対応状況やモニタリング計画に基づくモニタリング評価結果などについて確認した。
今夏までに草案をまとめ、9月ごろ科学委員会で確認。10月開催予定の第2回地域連絡会議で合意を図った後、期限の12月1日に世界遺産委へ提出する。
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