「ヤキーヌシマの物語」贈呈 「マラリアの歴史知って」
- 2022年05月20日
「Team Yaeyama Zero Malaria」代表で琉球大学医学研究科ウイルス学講座助教の斉藤美加さんが19日、石垣市教育委員会を訪れ、自身が執筆に携わった冊子「ヤキーヌシマの物語~八重山からマラリアがなくなるまで~」615冊を贈呈した。市立小学校5年生児童などに配布される。
斉藤さんは、2015年から蚊の調査のため石垣島をたびたび訪れており、今年は八重山がゼロマラリアを達成して60周年を迎えることから、この地域であったマラリアの歴史を知ってほしいと贈呈を決めた。
冊子は、先人たちの苦悩や科学の大切さ、マラリアという感染症などについて説明を交えながら自分たちにできることを考えていく内容となっている。
贈呈式で斉藤さんは「新型コロナがあって、感染症のない社会の尊さがたくさんの人の心に芽生えている。この本を通して、マラリアという感染症と闘った先人たちの血と努力と涙の結晶を皆さんに知っていただき、次世代につなげ、世界に発信していってほしい」と期待した。
﨑山晃教育長は「戦時中の避難でたくさんの人がマラリアにかかり命を落としたことは学んでいるけれど、この本の中では、移民政策においてマラリア撲滅が大事な事業だったことなど、八重山のマラリア撲滅までの道のりを体系的にまとめていただいている。道徳などの教材としても使えると思うので、有効に活用させていただきたい」と感謝した。
贈呈先は石垣市立の小学校5年生に552冊、各小学校に計57冊、各中学校に計5冊、市立八重山図書館に1冊。
書籍は非売品となっているが、石垣市伊野田に建立予定の八重山ゼロマラリア60周年記念碑と説明板の寄付者への返礼として配布される予定。
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