キビ交付金、対象外恐れ 長雨影響、期限内収穫難しく
5月に入ってからの長雨の影響で石垣島内のサトウキビの刈り取りが進まず、国から生産者に支払われる交付金の期限となっている5月31日までに作業が終わらない可能性が高くなっていることが18日、分かった。石垣島製糖(松林豊社長)によると今後、毎日搬入があったとしても千㌧から2千㌧が期限内に収穫されない恐れも。同社は14日以降、1㌧当たり4200円かかるハーベスター使用料約3800万円を負担して刈り取り作業のスピードアップを図っている。
石垣島では5月に入り、雨が降らなかったのは8日のみで、ぬかるんだほ場にハーベスターが入れない日が続いている。石糖では1日平均700㌧程度の搬入を予定しているが、搬入がない日が1週間以上あったことから1日平均170㌧程度にとどまっている。
同社によると18日時点で刈り取りが終わっていない農家は約180戸144㌶。原料にして9200㌧程度が見込まれている。
農水省は「砂糖及びでん粉の価格調整に関する法律」に基づき、サトウキビ生産農家に交付金を出しており、今年度は1㌧当たり1万6860円で5月31日までに搬入された原料が対象となっている。
同社によると、これまで最も遅かった搬入終了日は6月20日だったが、国から生産者へ直接の交付金制度が始まって以来、6月以降にずれ込むのは今回が初めてで全国的にも例がないという。
同社では、ぬかるんだほ場にも入れる小型のハーベスターを波照間や小浜、西表などから借りることも検討したが、長雨などの影響で各地の刈り取りも遅れているため実現していない。
石糖は18日、同社会議室で国や県、市など関係7機関と期限に間に合わない事態となった場合の農家への支援策などについて協議した。
松林社長は「石糖としてやれることはやる。生産農家のみなさんに迷惑をかけるわけにはいかない」と話した。市さとうきび生産組合の伊敷繁光組合長は「組合員のみなさんには多少無理をしてでも刈り取り作業をスピードアップするよう呼び掛けている。ここまで遅れると株出しにも影響する」と来期の生産に懸念を示した。
高齢化などの影響で島内の農家の9割以上が機械刈りを希望している。今後、晴天が続いたとしても全量刈り取りは難しく、同社の多宇弘充農務部長は「農家との信頼関係がある。丹精込めて作ったサトウキビを捨てるわけにはいかない。なんとか解決策を見いだしていきたい」と述べた。
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