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島内産塩辛、消滅の危機 原料不足「作れない」

50年以上にわたり島民に親しまれてきた長浜水産の塩辛=18日午後、長浜水産

50年以上にわたり島民に親しまれてきた長浜水産の塩辛=18日午後、長浜水産

浜水産長期休業

 石垣島内で唯一、塩辛を生産している長浜水産(長濵健弘代表)=新川=が2021年12月末から長期の休業に入った。原料となるカツオの内臓や腹皮の不足、いか、たこの仕入れ価格高騰などが要因となり「これまで通りの供給が難しい」と判断、再開は早くても来年以降を見込んでいる。食卓やお酒の場で50年以上親しまれてきた島内産の塩辛がことし1年、市場に流通しなくなる。

■コロナ、不漁、原油高騰

 長浜水産は創業57年の老舗。昔ながらの製法を守りながらカツオのワタ、ハラガワ、たこ、いか、いかすみ、スクガラスの6種類の塩辛を生産してきた。ご飯のお供、酒のさかな、特産品としても人気を博し、島内の各スーパーや商店、お土産品店などで販売。沖縄居酒屋など100社以上の県外業者とも取引している。

 状況が一変したのは2020年。新型コロナウイルス感染拡大により居酒屋での消費が大きく落ち込んだほか、全国的なカツオの不漁も重なった。アオリイカなどその他の原料も価格が高騰し、真ダコはコロナ禍前と比べキロ3000円以上上昇した。

 同社は全国各地の仕入れ先と交渉したものの、原油価格の高騰も相まって絶対量の調達には至らず。コロナ、不漁、価格高騰の「三重苦」で創業以来初の休業を余儀なくされた。

 3代目の長濵徹さん(34)によると、人気商品のカツオのワタや腹皮は数百㌔単位での仕入れが必要。どちらも1匹から約150~200㌘しかとれないため、漁獲量減は大きな痛手だ。また半年間発酵させるため、原料を調達できても商品化までに時間を要する。

 長濵さんは「島内での流通分だけならまかなえるが、収益は県外業者に頼っている部分が大きい。大量生産できなければ経営は厳しくなる一方」と表情を曇らせ「休業は心苦しく、島民の皆さんには申し訳ない思いでいっぱい。ものがなくて作れないのは辛い」と嘆いた。

■何とか復活を

 年末以降、休業を知った地域住民や取引先から問い合わせが殺到。在庫はほぼ無くなってしまった。

 販売は見込めない1年となるが、長濵さんは「見直し期間」と位置づけ、安定した仕入れ先の確保に努める。県外仕入れの増加、少量ずつでの取り寄せなどを視野に、時代に応じた塩辛事業の再構築を図る。

 長濵さんは「半世紀以上にわたって親しまれ、愛されている商品。ここで途絶えさせるわけにはいかない」と力を込め、「何とか復活できるタイミングを見つけ、家庭に届けられるようにしたい。それまで時間をください」と呼び掛けた。

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