八重山諸島のニュース・石垣島・竹富島・西表島・新城島・小浜島・鳩間島・黒島・波照間島・与那国島

エントリー

石垣島出身のハンセン病回復者、宮良正吉

 石垣島出身のハンセン病回復者、宮良正吉さん(76)の足取りが、上江洲儀正著「島を出る」(水曜社)に描かれている。宮良さんは、小学5年生だった1956年に沖縄愛楽園に収容された。らい予防法違憲国家賠償請求訴訟の「国の隔離政策は違憲」とした判決が確定するのは、その45年後である▼本書は、こうした流れを押さえつつ、「個」の世界を描く。息が苦しくなるようなエピソードも登場する▼勤め先で人間関係ができる。あるいは、家庭を持つ。そして、療養所で暮らした過去を消すため、当時の仲間たちと距離を取るようになった人たちがいる。宮良さんは、10年間書き続けてきた日記を焼いた経験があるそうだ▼島の人間関係も壁となる。病歴が知らぬ間に広まり、島へ帰れば、親しい人から「帰ってきちゃだめじゃないか」とたしなめられたりする人間関係だ▼宮良さんは「今も島の偏見差別は変わりがないと聞いています」と語ったという。といって、著者は宮良さんを告発者として描いてはいない。「島を出る」という行為は、宮良さんにとっては「あたらしいふるさとに出会う旅でもある」というのが著者の解釈である▼生まれ島と「あたらしいふるさと」を隔てる距離。本書は、ハンセン病を取り巻く社会を見据え、島に問うている。(松田良孝)

※本コメント機能はFacebook Ireland Limitedによって提供されており、この機能によって生じた損害に対して株式会社八重山毎日新聞は一切の責任を負いません。

関連するニュース

  • 関連するニュースはありません。

ページ移動

キーワード検索フォーム