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写真家の石垣佳彦さん(83)は、頼まれて…

 写真家の石垣佳彦さん(83)は、頼まれて西表炭鉱の炭層を撮影しにいったことがある。暗い坑内に大判カメラを据え、炭層にライトを当ててピントを合わせる。このころは、マグネシウムに点火して光源にしており、いつもの手順でシャッターを切った▼すると、轟音が響いた。気付くと、腰をしたたかに打って倒れていたそうだ。坑内のガスに引火し、爆発が起きたのだ。カメラは壊れ、撮影どころではない▼このときの様子を語る石垣さんの弱り切った表情も、その口調も、コメディアン演じるペシミストのようだ。あわや大惨事という事故も、私の頭の中では漫画の一コマに転写され、失礼ながら腹を抱えて笑ってしまった▼そして、うならされた。写真家にして、写真に残らないエピソードもお持ちの石垣さんなのだ。石垣さんは「変わったことがあると、とにかく行ってみたくなる」とおっしゃっていた。石垣さんがフィルムに写し取っているのは、ご自身の衝動の痕跡である▼炭鉱の事故の後、石垣さんは治療を受けながら西表島で静養し、無事に石垣島へ帰ってきた。そして、カメラを担いで飛び回る日々に戻る▼八重山の風景や行事の数々は確実に変化してきた。その姿を石垣さんはフィルムに焼き付け、私たちは今も写真でたどることができる。(松田良孝)

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