あと半年足らずで復帰50年の節目だ。米国
- 2021年11月29日
- 不連続線
あと半年足らずで復帰50年の節目だ。米国の沖縄統治をどう考えるべきか。19日に亡くなった西表島大富の桃原方美さん(1926年生)が語っていた話を聞き直してみて、ひとつのヒントをいただいたような気がした▼桃原さんの米国統治期を前後半に分けるなら、前半は開拓である。桃原さんと妻の民さん(25年生)は竹富島から大富に移民した。2010年3月にインタビューしたとき、民さんは「大変苦労して開拓をしました」と振り返っていた▼後半はパインアップル。大富のパイン缶詰工場で、桃原さんは労務係を務め、製造ラインに入る人手の確保に四苦八苦していた。収穫されたパインが続々と工場に集められ、製造ラインに載せられるのを待つ▼「パインは腐らせられない。(島外の働き手は)石垣までは喜んで行きたがるが、こっちは西表。相当苦労しましたよ」。交通の便を見て勤め先を選ぼうとする労働者を、西表島まで導くのは容易ではなかった▼離島の地理的環境は不利性につながりうる。他方で、海が周囲との間にスペースを保ってくれるがゆえに、独特なものが生み出されてきた▼この半世紀で離島はその地理的環境をどう飼いならし、依然として克服できない課題は何か。桃原さんの生涯は軽々に扱えない問いかけを残している。(松田良孝)
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