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「この子を残しては死ねない」。成人した…

 「この子を残しては死ねない」。成人した障害児を抱える老親が、常に頭の隅で気にしているこの言葉を冷徹にカメラで追ったオランダのドキュメンタリー映画「ケースのためにできること」を見た▼末っ子ケースは自閉症。思考、集中力に優れ、普段はプラモデル作りと日本語の勉強に精を出す。一方で音に敏感なため、家族が出すドアの開け閉めなど日常の物音に耐えられないと離れで自炊し一人暮らし▼温暖化ガスを排出する文明を嫌悪、外出でドイツ製のディーゼル自動車などに遭遇するやドイツ国、人をののしるなど感情を激しくあらわにする性分▼困りごとは、すべて老母頼み。老父は息子の自立のために障害者が助け合い共に暮らせる集落が作れないか奔走。しかし、個々に違う障害者が夫々に適した住宅を望むと経費が加重に▼ケース中心の老後も、そう長くはない。ある日独立したケースの兄たちと嫁を呼び、私たちの死後、ケースの面倒を見てくれないか問う。仕事がある。自分たちの生活だけでも大変。嫁の立場では母親代わりは無理▼老母は口に出さないが観念している。息子が先に逝けばベストだが、残った場合は国、世間が支えてくれない限り選択肢は自死か法の下での安楽死。ケースは母親の覚悟をうすうす感じつつ歳を重ねている。(仲間清隆)

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