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赤瓦、一時使用禁止 東京地裁が仮処分

愛知県内業者の瓦=22日午後、市役所新庁舎

愛知県内業者の瓦=22日午後、市役所新庁舎

茨城県内業者の瓦=2017年7月3日、消防本部敷地内

赤瓦屋根が特徴の石垣市役所新庁舎=22日午後

市新庁舎

 石垣市役所新庁舎の屋根に使用されている約12万枚の愛知県産赤瓦が、東京地裁から不正競争防止法に基づき譲渡禁止などの仮処分決定を受けていたものであることが22日までに分かった。期間は昨年11月6日から今年3月30日まで。新庁舎は4月1日以降、この瓦が施工されて8月末までには完成したが、「自社商品を模倣された」として仮処分申請を行っていた茨城県内業者が今月10日には同じ愛知県内業者3社を相手に訴訟を起こしており、尾を引く可能性もある。

 仮処分決定の期間、愛知県産瓦は使用できなくなったが、市は今年3月末から8月末に工期を延長したこととは関係ないとしている。議会でも瓦をめぐるトラブルについては一切言及しておらず、議会側の反発も予想される。新庁舎建設工事請負契約に関する百条特別委員会でも調査対象となりそうだ。

 東京地裁の判断などによると、石垣島など県内にも作業所を有する茨城県業者は2016年に疑似しっくい模様の瓦を開発し、新庁舎の設計を担当する隈研吾事務所に持ち込んだ。

 同業者は隈氏も画期的と気に入ったとの連絡を同事務所から受け、さらに石垣市長も関心を示したと聞き、17年6月に20枚以上のサンプルを新庁舎建設地隣接の消防本部敷地内に設置、耐久性試験を開始した。

 その後、実施設計図書にも反映されたが、建設工事を受注したJV業者はこれを選定せず、愛知県内業者の商品を採用した。

 これに対し茨城県業者は「自社商品の形態を模倣した」などとして不正競争防止法に基づき差し止めを求める仮処分を申し立てた。耐久試験中に商品の形態を知る機会があったなどと主張。愛知県業者は、瓦の形態は異なっており、実質的に同一ではないと反論していた。

 東京地裁は愛知県業者が茨城県業者の商品の形態に依拠してつくりあげたものと認められると判断。昨年11月6日の地裁決定を受け、茨城県業者は同12日、代理人の弁護士と石垣市役所を訪れ、担当者らに面会、決定内容を通知していた。

 JVの代表企業は愛知県産瓦の使用について取材に対し「コスト、品質、安全管理などを総合的に勘案し、調達先を決定している。本件にかかわらず、個別工事における調達内容については通常より答えていない」とした。

 【不正競争防止法】「不正競争」を「他人の商品の形態を模倣した商品を譲渡し、貸し渡し、譲渡もしくは貸し渡しのために展示し、輸出し、または輸入する行為」と定義。不正の利益を得る目的でこれに違反した場合は5年以下の懲役か500万円以下の罰金を科している。

 

■市「違法性はない」 工期延長要因も否定

 石垣市役所新庁舎の県外産赤瓦を巡る仮処分決定について石垣市は、22日までの八重山毎日新聞社の取材に対し、4月以降も採用したことに違法性はないとの認識を示した。

 市は昨年12月、契約当事者である設計業者と工事請負業者から「新庁舎で施工される屋根瓦は設計者が創作したものであり、意匠法に基づく意匠権の侵害にはあたらず、違法性はないと認識している」との説明を受けたことを明らかにし、「計画通りに施工した」と回答した。

 市によると、茨城県内の業者は、不正競争防止法に基づく仮処分申請のほか意匠法に基づく仮処分の申し立てを起こし、今年3月30日に東京地裁で却下されていた。

 市は、不正競争防止法に基づく仮処分決定の期間にあたる3月30日まで瓦を使用した工事は行わず、順序を変更し下地を敷くなどの作業を実施した。

 工期は3月末から8月末にずれ込んだが、「新型コロナウイルス感染症対策による工事の中断などによって全体工期が遅れることとなったもの。屋根瓦施工延長が全体工期延長の要因ではない」とした。

 【意匠法】工業上利用できる物品の形状、模様、色彩などの形態で処理された視覚を通じて生じる美感の保護・利用を図ることによって意匠の創作を奨励し、産業の発達に寄与することを目的とする法律。美術や工業、建築などで使用されるデザインを保護し、適切に利用されるために定められたもの。産業財産権四法(特許法、実用新案法、意匠法及び商標法)のうちの一つ。

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