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十六日祭などで台湾系の人たちの墓地へ…

 十六日祭などで台湾系の人たちの墓地へ行くと、長老たちが輪になっておしゃべりをする姿を目にする。台湾語と日本語を織り交ぜ、いかにも表情豊かだ▼10月31日、そんな長老のお一人が亡くなった。王滝幸江さんである。八重山にパイン産業を定着させた林発氏(1904~78)の娘。6歳で台湾から石垣島へやってきた。現在の登野城小学校に通ったが、卒業はしていない。疎開で台湾へ戻っているからである▼林発氏の娘なのだから、その後、戦後に石垣島へ帰ってきたのは予定通りのことかと思いきや、筆者が2003年7月にインタビューした時には、別のことを言っていた。「(石垣へ)帰ったのは、228事件の時に政情不安定で、大変だった」▼228事件とは1947年2月以降に台湾で広がった民衆弾圧のこと。台湾社会ではその後も言論弾圧や政治的な迫害が横行した。王滝さんにも、18年間、不当に拘束された台湾の同級生がいる▼政治的な迫害を理由に台湾から逃れる際に八重山を経由したケースは、戦後間もないころ以外に、70年代にも起きている。人目を避けての隠密行動だから、明るみに出ないケースは多かったはずだ▼王滝さんが去り、私たちは、こうした厳しい歴史を知る生き証人を一人失った。謹んでご冥福をお祈りします。(松田良孝)

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