ヤマネコ交通事故死 世界自然遺産登録後3頭目
今年に入り5件目となるイリオモテヤマネコの交通事故死が発生した。西表島が世界自然遺産登録後、3頭目の事故死となり、国連教育科学文化機関(ユネスコ)から指摘されている希少野生生物のロードキル対策の難しさがあらためて浮き彫りになった。交通事故死した個体は雌の成獣で、1日午後8時半ごろ西表島西部の祖納~干立集落間の与那田橋付近の県道上で発見された。発見当時、体温が残り、死後硬直も始まっていない状態だった。
イリオモテヤマネコの交通事故は今年に入り急増。これまでは新型コロナウイルスの感染拡大の影響で人の往来が減ったことなどから2019年12月11日から20年4月20日まで496日間起きていなかった。
事故死した個体は、体重2.9㌔、頭胴長56㌢(全長78.2㌢)。発見者から連絡を受けた西表野生生物保護センターの職員が回収。死体は山側車線の中央にあり、出血が見られた。
同センターで計測、1次検査などを行い、今後は専門家による詳しい死因究明で病理検査、寄生虫検査等を実施するため、鹿児島大学共同獣医学部獣医学科に搬送する。
同センターでは、収集している目撃情報に基づき移動式の注意看板を設置するなど注意喚起をしており「秋から冬にかけて子ネコが母親から離れて単独行動を開始する時期。成長した子ネコは車や人を恐れず、島内のどこでも飛び出してくる危険性があるが、看板付近では特に注意してほしい」と呼び掛けるとともに、事故に遭遇した場合は速やかに24時間対応の同センター(85―5581)へ連絡するよう協力を求めている。
イリオモテヤマネコの交通事故は記録の残る1978年以降97件起こっており、うち89件で死亡が確認されている。
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