野生化牛駆除 対策練り直しへ
伊原間―明石間の東側に生息する野生化牛の対策事業費約335万円が2021年度一般会計9月補正予算から議会で削除されたことを受け、石垣市は駆除計画の練り直しを余儀なくされている。議会は駆除の必要性を認めつつ市の経費負担のほか実効性を疑問視、猟友会からも「自信がない」との声が漏れる。市は再度、関係機関で構成する対策協議会で調整する。
野生化牛は、2008年2月に伊原間牧野組合から牧場と合わせて放牧牛100余りが農業生産法人に売却された際、人の管理から外れた牛が繁殖したもの。延べ90頭余りが野生化したものとみられる。
法人は19年から関係機関の助言を受け駆除対策を実施。家畜飼料で餌付けしてゲート内に誘導し、捕縛して薬殺する方法で26頭を駆除した。
しかし▽繁殖のスピードが速い▽捕縛する際に特にオスが暴れて危険である▽ことし2月には車両との追突事故もあった―ことなどからことし3月、独自の駆除方法には限界があるとして行政に支援を求めた。
市はことし6月、市民や観光客などの車両との衝突事故や牧場内エコロード利用者への襲撃などが危惧されるとして関係機関と対策協議会を設置し、支援を決定した。鳥獣被害防止特別措置法に基づく市鳥獣被害防止計画(21年度から3カ年)に野生化牛を対象鳥獣に追加し、同14日付で県の同意を得ている。
これを受け市は年度内に5回の実施で駆除し、市支出分の2分の1以上を同法人に求める予定だったが、9月補正で予算化できなかったため計画を再検討することに。
議会が指摘した実効性の不確定要素について県猟友会石垣地区のメンバーの一人は「2、3頭なら駆除できるが、60頭近くとなると厳しい。撃ち逃すと、もう山から出てこなくなる。大きな成果を上げる自信がない」と肯定する。
その上で「どこにどれだけの牛がいるか、どのような行動パターンをとっているのか基礎調査が必要。その上でないと具体的な捕獲方法は検討できない。まずは県道や民有地などに牛が出入りする箇所をふさぎ、住民生活への被害を防止すべきではないか」と提案する。
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