「貴重樹種確認されず」 防衛局、市に踏査結果報告
平得大俣への陸上自衛隊配備計画をめぐり、景観法に基づく行為通知書に存在しないとされるサキシマスオウノキ約284本とアマミアラカシ約8812本を伐採樹木として記載していた問題で、沖縄防衛局が現地踏査結果を石垣市に報告していたことが分かった。両樹種は確認されず、希少種もなかった。市が7日、6日付で受領したとホームページで公表した。現地ではすでに伐採工事が行われている。
両樹種は、樹木の伐採量を算出するため2018年度に実施した立木調査をもとに面積を換算して通知書に記載されたもので、立木調査に誤りがあったことになる。このミスの原因については防衛局はこれまでの八重山毎日新聞社の取材に回答していない。さらにサキシマスオウノキの約284本、アマミアラカシの約8812本が何の樹木だったのかについても8日の取材に後日回答とした。
この問題を巡っては、石垣島に軍事基地をつくらせない市民連絡会が6月9日、石垣市に対し▽防衛局に疑義の説明を求め、回答があるまでは元市有地の伐採作業を中止する▽行為通知書に誤りがあった場合、(景観法に基づく)協議終了通知を撤回し、市民にオープンにして再審議する―ことなどを要請していた。
景観法の手続きについて市は4月13日付で行為通知書を受理、同23日開催の景観形成審議会発言記録を添え、5月14日付で協議終了を防衛局に通知。その後、伐採樹木に誤りがあったことが判明したが、同局も市も「行為通知書に記載された行為内容(伐採、移植)に変わりなく、適切な手続きだった」としている。
通知書によると、取得した市有地など約24.3㌶の約19.1㌶で工事を予定し、このうち約8.2㌶で伐採・除根を計画。施行期間は4月1日から2023年3月末となっている。
今回の踏査報告を前に現地では伐採行為が進められており、連絡会は「順番が逆だ」と反発している。
報告によると、同局職員と環境コンサルタント、有識者、市職員が7月8、9、12日、8月5日の4日間、伐採エリア全域を網羅する踏査ルートを設定して目視観察で調査した。有識者は2日のみの参加だった。
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