緊急宣言後のSOS注意 コロナ禍、自殺者増を懸念
- 2021年09月06日
- 災害・事件・事故
八重山管内で2020年の自殺者が14人と16年以降5年間で最多となった。新型コロナウイルス感染拡大が背景にあるとみられている。ことしは7月末時点の暫定値で4人と、コロナ禍以前の年間7~8人ペースで推移しているが、全国的には緊急事態宣言後に自殺者が増える傾向もあるため、関係者は宣言解除後の動きを注視、「一人で悩まず相談を」と呼び掛ける。
■自粛中は連帯感
八重山保健所によると09~20年の12年間の自殺者数は148人。男女比は83.1%(123人)、16.9%(25人)で男性が8割を占める。自殺の原因・動機は健康問題、経済・生活問題の順に多い。
同保健所は緊急事態宣言と自殺者の関係性も指摘する。全国の統計として昨年4~5月の宣言中、月別自殺者は1600人前後だが、解除後の7月~8月で月別1800人以上に増加した。
担当者は「期間中だとコロナ禍の自粛で連帯感が生まれていたが、自粛後の復興に伴い自殺が増加した」と見る。同様の動きは県内では緩やかだが、「9月(12日)に宣言が明けて経済活動や交流が再開すると(自身を取り巻く)問題が明らかになるので自殺増加が懸念される」と話す。
■自殺企図5割
「こころの健康相談事業」を展開する石垣市障がい福祉課では家族関係や精神の不調、コロナ禍に悩む市民をケアしている。事業の浸透もあり、20年度の相談件数は事業開始年度(18年度)の3倍以上に。昨年度の相談内容は「精神の不調」38件、「家族関係」24件の順に多く、「就労関係」「身体不調」「生活困窮」が10件ずつあった。
コロナ禍に関する相談もある。職場を解雇され、求職活動にも失敗して「死にたい気持ちがある」と打ち明けるケースも。市が相談者38人を対象に「1年以内の自殺企図歴」を確認したところ、半数の19人が「あり」と回答、実際に自傷行為に及んだ事例も確認している。
昨年の相談件数は緊急事態宣言後の7~8月に多く、8月に確認された市内の自殺者は4人。担当者は「宣言が明けて周りは活発に動くが、自分は落ち込んでいる状況で『死にたい』との気持ちが出る可能性はある。去年の例で言うと、宣言が明けた後、相談者が増える」と案じる。
9月10日は「世界自殺予防デー」。16日までの1週間は「自殺予防週間」となっており、各機関がパネル展を展開し、相談窓口などを紹介する。
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