ヤマネコが事故死 世界自然遺産登録後初
- 2021年07月30日
- 災害・事件・事故
西表島が世界自然遺産に登録された2日後の28日夜、国指定特別天然記念物イリオモテヤマネコの交通事故死が西表東部の野原崎展望台付近県道215号線上で発生した。登録に当たってユネスコが指摘するヤマネコなど絶滅危惧種の交通事故防止策の課題がさっそく浮き彫りになった。
ユネスコは今月26日、西表島の自然を「人類共通の財産」として世界遺産への登録を決定。日本に対し、絶滅危惧種の交通事故死を減少させるための交通管理措置の有効性を緊急に見直し、「必要な場合は強化すること」を要請している。
事故に遭ったのは雄の子ネコで、体重1.3㌔、頭胴長45.5㌢。ことしに入り交通事故は3件目で全て死んでいる。記録が残る1978年以降で95件発生、このうち87件で死んでいる。
環境省西表野生生物保護センターによると、子ネコは山側から急に道路へ飛び出したところを車両にひかれた。事故を起こした運転手が同センターに連絡、現場に到着した職員が海側の車線に横たわって死んでいる子ネコを確認した。
現場は島の東側に位置する直線道路。道路脇の雑草も少なく見通しは良い。運転手は「気づいたら目の前に飛び出していた」と話していたという。
現場の南側約1~4㌔にかけての道路では先月だけで約15件のヤマネコ目撃情報が同センターに寄せられ、子ネコの目撃情報もあった。
島内ではヤマネコの子育てシーズン真っただ中。母ネコが活発に動き回るようになり、成長した子ネコは車や人間を恐れず道路に飛び出してくることもある。今後も事故発生が懸念される。
同センターは、ホームページやFacebookで公開しているヤマネコ運転注意マップでヤマネコが頻繁に出没する場所を広報するとともに、夜間の運転や速度への注意を喚起していく。同時にHPなどから目撃情報も募っている。
事故現場に遭遇した際は、迅速に処置をすれば助かる可能性もあるため緊急ダイヤルに電話するよう求めている。番号は0980-85-5581。
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