大型リゾート計画が再浮上 石垣市川平
米国ホテル大手直営の高級リゾート建設予定地だった石垣市川平集落北側の約8・7㌶で、リゾート計画が再浮上している。建設を担っていた石垣島産業開発㈱(武田嘉明最高経営責任者会長)が別企業運営でのホテル建設を目指し、川平住民にアンケートを実施していることが分かった。国内大手高級ホテルマネジメント会社運営の5階建て病院併設型高級リゾートと中国籍企業運営の分譲ホテルの2案を提示、意見を求めている。
各家庭に3月31日付で配布されたアンケート資料によると、第1案「掛かり付け医師在住診療所と津波発生時避難所併設型の地域共生型リゾート(5階建て)」、第2案「タイムシェア型の会員制分譲リゾート(2階建て)」。第1案には「隈研吾先生設計」とも記している。
第1案の高さは最高18・37㍍で、石垣市風景計画・都市計画景観地区に指定されている川平地区での建築物の高さ7㍍以下を大きく超えている。
主な質問事項は「掛かり付け医師のいる診療所は川平にあったほうがいいか」「非常食を備蓄した津波等災害時の緊急避難所は川平に必要か」の2択から選ばせるもの。
それぞれの課題として「地域間協定締結と市景観条例の改定を要件」、「弊社が運営に関与しないので、上海の中国籍企業が独断で展開する可能性」を挙げている。20日までの回答に協力を求めている。
これらの計画に対し、川平在住の男性は「川平景観地区には高さ制限がある。5階建ては造れないため、選択肢に根拠がない」と疑問視。中国資本の川平進出にも「国境の島としては懸念材料」と否定的だ。
一方、別の男性は「近くに診療所ができるのは良いこと」と歓迎。「津波で家がなくなった人を受け入れると聞く。ホテルがやってくれるならありがたい」と第1案を推す。
川平公民館の高嶺守館長は「4~5階建ては市の景観条例に違反するので賛成できない。公民館は2階建てまでしか容認しない」との方針を示す。
アンケートを実施した業者側は取材に「川平の人たちとの共存共栄を目的に、話し合いをするためのアンケート」と趣旨を説明。今後については「川平主導で2階建てか4~5階建てにするか決めて頂きたい」としている。
二つの案の運営会社はアンケート資料に記されていない。国内企業運営案への参入が取りざたされている国内大手ホテルグループの担当者は取材に「この案件を『やる』『やらない』と言える段階ではない」と述べるにとどめた。
川平景観地区をめぐっては、市が2018年、高さ制限を緩和する変更手続きを進めていたが、地元の反対で中止に追い込まれた経緯がある。
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