保全活動を地域に継承 WWFジャパンしらほサンゴ村
- 2021年03月28日
- 地域・教育
公益財団法人世界自然保護基金ジャパン(末吉竹二郎会長、WWF)は27日、石垣市白保の研究拠点サンゴ礁保護研究センター(しらほサンゴ村)を白保公民館(横目博二館長)に譲渡、施設の有功活用とサンゴ礁文化・生態系保全活動を地域に託した。サンゴ村は2000年4月に開所、21年にわたる保護研究活動に幕を下ろした。
サンゴ村は、1970年代に世界有数の豊かさを誇る白保のサンゴ礁を埋め立てる形で計画された新石垣空港建設問題を契機に、サンゴ礁保全活動の拠点として募金・寄付によって整備された。
WWFはサンゴ村を中心に、南西諸島各地のサンゴ礁や陸域生態系の保全活動を展開。白保では▽サンゴ礁を脅かす赤土流出防止対策▽影響把握のための長期的なモニタリング調査―を実施。白保の小中学校とも連携し、シュノーケル観察会などサンゴ学習の活動も展開してきた。譲渡後も東京から通うなどして白保のプロジェクトに従事する。
サンゴ村で行われた譲渡契約締結の調印式でWWFの東梅貞義事務局長は「(白保の海が)世界の中でも失われてはいけない宝と気付いたのは新石垣空港が建設される時。地域、日本、世界にとって失ってはいけない、未来に継承すべきものと気付くために手伝いができたことは貴重な機会だった」と振り返り、地域の協力に感謝した。
横目館長はWWFの活動について「有形無形の活動は白保の精神文化にも影響があった。WWFと白保が新たな関係のもとで再スタートすると捉えたい」とあいさつ。施設仕様の覚書を締結したNPO法人夏花の花城芳藏理事長は、地域での連携した活動に決意を新たにした。
市議の東内原ともこ氏も「宝の海の保全を後世につなげていくことを祈る」、宮良操氏は「新空港建設問題で村が二分された時、サンゴ村は大きな力になった」と地域貢献に感謝した。
公民館は今後、「白保サンゴ村運営委員会」を中心に利活用を検討する。白保日曜市を同所で継続する一方、青年会が一部施設を利用することも視野に入れている。夏花も覚書に沿って従来通り保全・啓発活動などを展開する。
WWFとしてのサンゴ村一般公開は6月末で終了。7月以降は公民館の施設運用が始まる。WWFは11月末、施設内にデスク1つを維持して退去する。
関連するニュース
- 関連するニュースはありません。