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山上政さんの訃報に接し、ふぞろいのお茶わん

 山上政さんの訃報に接し、ふぞろいのお茶わんのことを思い出した。山上さんのアイデアで始まった「あしながおばさんの会」を20年ほど前に取材したとき、会場の竹富町離島振興総合センターでは、調理場の片隅にサイズも柄もばらばらのお茶わんが重ねてあったのだ▼同会のミニデイサービスは1987年に始まり、地域の支えを受けて続けられてきた。介護保険制度のスタートより10年以上も前のことである▼昼食サービス用の食器がばらばらなのは、それが飾り気のない善意の重なり合いだからだ。山上政という先駆者は、知恵を絞り、人を引き寄せながら気遣いを形に移していった▼現在の代表、竹盛由紀子さん(67)によると、山上さんは医者にかかりたがらないたち。自宅でみとる方針が決まると、公的介護サービスを組み合わせながら隣人や知人が毎日の世話をし、縁のある人たちには知らせを伝えて会いにきてもらった▼16日夜の死亡確認には、10人ほどが立ち会った。「みんなが慕って、みんなが集まってくる山上さんらしい最期でした」と竹盛さん▼山上さんのボランティアは、望んだ場所で不安なく年を重ね、最期を迎えられる豊かさを伝えていた。自らの幕引きでは与えた愛情以上のものに囲まれ、別離の悲しみだけではない何かを残した。(松田良孝)

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