平久保小休校 過疎化に拍車と危機感
- 2021年02月20日
- 地域・教育
「過疎化に拍車がかかる」。平久保小学校の4月からの休校決定に、北部地域住民は危機感を強め、「市街地も北部も同じ市民。行政は住居と雇用のてこ入れを」と北部活性化事業への真剣な向き合いを求めている。
教育的効果に…
市教育委員会によると北部4小学校(伊野田、野底、明石、平久保)の児童数は2020年5月末現在62人で、5年前の92人から30人減った。
平久保小の宮里満男校長は「少人数だからこそ丁寧な見守りができるという利点もあるが、他者との関わりの中での成長という面では課題がある」と話す。この点を補うため、4校は年2回、合同授業の実施やビデオ通話を使った他校との交流など工夫してきた。
市市民課によると、ことし1月末現在の北部地域(桃里、伊原間、野底、平久保)の人口は573世帯1056人。5年前の562世帯1095人と比べ、世帯数は増えたが、人口は減っている。
「寂しい」
住居と就業先の確保が移住・定住の課題となっているため、市北部五校地区連絡協議会は毎年、市に対し市営団地の増設や活性化政策など要請を続けている。
平久保の辻照明館長は「保護者の世帯がどんどん少なくなってきたので、こうなるとは思っていた。学校は地域の交流の場であり、休校は非常に寂しい」と肩を落とす一方、行政の地域格差解消への姿勢に不信感を募らせる。
「住居の用意や雇用の創出など含めてトータルで真剣に取り組んでほしい。安易に発車して終わりじゃなく、回転可能な事業を真剣に考えてほしい」と本腰を入れた対応を求める。
竹富町が17日にコンテナ住居確保に向け民間企業と浦内公民館と協定を結んだ例を挙げ、「住居用意の一つの手だと思う」と感銘する。
「北部にも農地はたくさんある。HOBO(移動販売車)はもっと利用価値があるはず。市街地も北部も同じ市民。地域格差は仕方ないと受け入れるのではなく、皆で何とかしていかないと前には進めない」と窮状を訴える。
島のみんなで
平久保で平屋の賃貸物件を所有する女性(61)のもとには、ことし内見希望が数件あったが、家屋の劣化が著しいため、現在まで借り手はついていない。「平久保に住みたいと思ってくれる人はいるけど、石垣市の空き家バンク事業の50万円補助では修繕が追いつかない。もっと行政が支援してくれたら」とぽつり。
明石で農業を営む70代男性は休校に「すごくショック。このままでは明石もそうなる」と焦燥感に駆られる。
「まずは雇用と団地。行政のテコ入れがないと、先は見えない。私もどうすれば地域を活性化できるかずっと考えている。何かないですか、北部が活性化する何かが。島の皆で考えてほしい」。(前木深音記者)
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