新型コロナ 12月下旬以降、急増
石垣市内での新型コロナウイルスの感染者数が昨年12月下旬以降、急増している。同23日~1月15日までに80人の感染が確認された。県八重山保健所が発表する日別感染者数は1日当たり平均3・3人、多い日は8人に上り、15日発表分までの直近1週間の陽性判明者数は22人前後と高水準で推移。年齢構成は40~70代が計57人と全体の7割を占め、中高年に感染が拡大している。感染経路は調査中・不明が約6割。医療関係者は「市内ではこれまでにない規模の市中感染が広がっている」と警鐘を鳴らす。
■10人に1人が感染か
県と八重山地域の新型コロナ対策本部への取材で、急拡大に至った幾つかの傾向が見えてきた。
一つは、年末年始の〝帰省由来〟だ。年末にウイルスを保有した状態の帰省者が健康上問題なく過ごし、居住地に戻って体調不良を訴えて感染が判明し、島で発症2日前に接触した人への感染が後から確認されている。
感染経路不明を除く陽性者の割合は、会食を介して感染した人が最も多く、対策本部の担当者は発症前に自覚症状のない人が会食などで他人へウイルスを拡散するケースを指摘する。そこから家庭内感染、職場内感染につながったとみられる。
市新型コロナ相談外来でPCR検査を実施するかりゆし病院(境田康二院長)では、多い日で70件以上の検査をしている。市の医療アドバイザーも務める境田氏は、検査全体の陽性率が10%と高いことを挙げ、「極端なことを言えば10人のうち1人はコロナウイルスの陽性者。ここまで陽性率が高くなると、島内に自覚症状のない陽性者がいて、その方たちが動くことで感染が広まっている」と推測する。
この3週間余りで陽性が分かった80人を年代別でみると40代20人、50代17人、60代10人、70代10人などと中高年が突出。境田氏は「20、30代は、無症状のため検査を受けない方もいると思う。目に見える数字以上に潜在的なウイルス保有者はいる」と憂慮する。
■受検の遅れ
年始には、自覚はあっても症状が重たくないため受診せず、感染期間の終わりかけに検査して陽性が判明する人も増えているという。この間は通常通りの生活を送っていることになる。
対策本部の関係者は「受診までの間、複数の人と会う機会が増え、感染を広げることにつながりかねない。体調が優れなければ市新型コロナ相談外来に相談してほしい」と危機感をあらわにする。
対策本部では、年代別や男女別比などに関する分析まで手が回っておらず、感染経路の調査中・不明も全体の6割を占めている。
境田氏は「例えば『スーパーへ買い物に行き、店の買い物かごに付着するウイルスに触れ、きちんと手指消毒しないと感染してしまう』、『マスクを外していると、どこかでうつされる』。そういう段階に来ている。今月31日までの2週間、住民皆さんが行動を自粛して抑え込まないと感染の連鎖は断ち切れない。今が一番勝負所」と訴える。
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