ウニの餌に廃棄野菜 養殖水の有機物を肥料に
八重山農林高校ライフスキル科の生徒らが育てたキャベツを食べる試験養殖中のシラヒゲウニ=24日午前、石垣市八島のウミブドウ養殖場
シラヒゲウニの試験養殖の現場を見学する生徒ら=24日午前、石垣市八島のウミブドウ養殖場
八重山農林高校ライフスキル科3年生5人が、石垣市の漁師2人と連携し、漁業と農業を循環させる仕組み作りに挑戦している。生徒側は同校で生産したキャベツの端切れなど廃棄野菜を、試験養殖用ウニの餌として漁師へ提供。漁師は養殖水中の有機物を同校農作物の肥料として提供するという取り組み。同校3年生が学業の集大成として取り組む課題研究の一環。5人のテーマは「持続可能な石垣島を目指して~食と人でつながる循環型地域づくり~」。
連携する漁師の一人は、一本釣り等を本業とし、試験的にウニの養殖にも取り組んでいる比嘉幸秀さん(59)。生徒らは11月、農業祭用に育てたキャベツを大量に収穫し、その際に出た端切れ約100㌔を、ウニの餌として比嘉さんに提供した。比嘉さんは「ウニはかなりたくさん餌を食べるため、餌の確保が一番のネックだった。餌の種類が生育にどう影響するか実験しているので、ぜひ他の廃棄野菜も提供してもらえたら」と協力に感謝している。
もう一人の漁師は、陸上養殖の養殖水に沈殿する有機物を取り出し、肥料として農業に活用するための実験を行っている川畑・D・ジョナタスさん(30)。川畑さんは24日、自身のヤイトハタ養殖水槽から取り出したふんやリン酸、硝酸などの有機物を生徒へ提供。「今まではモノがあふれる時代だったがこれからは違う。こういった循環型の取り組みが必要になる。できないと決めつけず、いろいろなことに挑戦してほしい」と激励した。
同日午前、生徒らは八島町にある石垣市種苗養殖施設や、比嘉さんの試験養殖施設を見学。玉城七海さん(18)は「廃棄キャベツを食べてくれるウニのことをもっと好きになった」、岸上凛さん(同)は「餌によってウニがどんな味に変わるか気になる」とそれぞれ興味をかきたてられた様子だった。生徒らは今後、提供できる廃棄野菜の種類や提供時期などを調査し連携を進めるほか、有機物の含有成分の種類と量を検査し、肥料として有効活用するのに適した農作物を選定する。
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