銘版復元に文字保存も 忘勿石修復期成会
- 2020年11月16日
- 地域・教育
【西表】2019年9月の台風18号で破損した忘勿石之碑(西表島南風見田海岸)の修復に向け、忘勿石之碑修復・波照間島戦争マラリア犠牲者戦没者慰霊之碑建立期成会(内原勲会長)は14日夜、大富公民館で住民説明会を開催した。石碑表面の銘版復元や識名信升校長(故人)が海岸の砂岩に彫った文字の保存など西表島での整備事業計画案を明らかにした。内原会長は、消滅した西表東部在波照間郷友会の再結成を住民らに要望、同海岸と戦跡を平和活動に生かせないかと提案した。
大富は、第2次世界大戦後に波照間島などからの入植者が開拓した集落。戦時中、波照間から疎開地の南風見田海岸に渡り、識名校長らと戦禍を生き延びた人も移り住んでいる。
忘勿石之碑は、旧・西表東部在波照間郷友会のメンバーが中心になって期成会を立ち上げ、1992年8月に建立したもの。
計画案のうち、西表島では▽忘勿石之碑修復・疎開地の戦争遺跡の整備▽石碑表面の銘版の復元▽砂岩に彫られた「忘勿石ハテルマシキナ」の文字の保存▽海岸に下りる遊歩道入り口付近の案内板設置▽ミルク面が彫られた洞窟現場の保存―の4つ。
内原会長は「西表在波照間郷友会を立ち上げて、以前、集落で盛んだったデイキャンプなどを同海岸で実施してもらい、平和学習の一環として子や孫に忘勿石の意味、戦争の悲惨さを伝えることはできないか。最終的な維持管理は、大原に役場本庁舎が移転し、町にお願いすると思う」と述べた。
説明会には住民約20人が参加。意見交換では、新しく造る銘版の石材について質問があり、同会は御影石、合成樹脂の見積もりを概算で提示。御影石は100万円強、合成樹脂は16万円。合成樹脂は安価だが、耐用年数が4~5年と短く、再整備の必要も出てくる。石材に関しては今後も検討していく。
一方、計画案によると、波照間島では▽戦争マラリア犠牲者・戦没者慰霊之碑▽戦争殺生家畜之碑(仮称)、ソテツ感謝之碑(仮称)―の建立となっている。ほかに事業を記録・保存するため記念誌発刊事業を予定する。
資金は募金やクラウドファンディングでの調達を検討。募金目標額は精査中。募金活動は来年から始める。
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