地城御嶽 12代目神司・南さん退任
石垣市平得の地城御嶽(通称ギシュクオン)の12代目神司の南照さん(88)=平得=が14日午前、同御嶽の拝所で、退任の儀である「神ぬシュビアギ願いの儀式」を行い、55年間の務めを終えた。
地城御嶽は平得の格式高い御嶽。『八重山島大阿母由来記』によると、沖縄本島「弁之御嶽」のイビの一つを移した御嶽であり、琉球国王の安泰祈願が行われたほか、在番等が着任した際は拝む場所でもあった。
終戦後に同御嶽の神司となった母・友利ヒデさん、南さんは1965年に就任。子ども4人を育て、農業をしながら神司を務め、平得村の世果報と地域住民の健康を祈願してきた。
南さんは同日、同御嶽の5カ所のイビ(聖地)を参拝してから、拝所で神ぬシュビアギの願いをささげた。万感の思いで声を震わせ「神様と別れることは本当に悔しいし悲しいが、この歳まで健康に頑張らせてくれてありがとうございます」と平得の方言を紡ぎ、涙をこぼし、神司の証であるかんざしと白い羽織「チョウキン」を神へ返した。
氏子を代表し、南さんの義弟である西表健さん(81)が「地域住民や氏子の心に寄り添い、1日も欠かさず神司としての重責を全うしてくれた。心から感謝を申し上げたい」と感謝と敬意を表し、親族らが感謝状や記念品、歌踊りなどで南さんの長年の労をねぎらった。次代の神司は、ことし就任した40代と60代の2人の女性が担う。
南さんは役目は終え「三つの役目を掛け持つのは大変だったが、神様に選ばれたので今日まで頑張ることができた」と目を細め「2人の跡継ぎが誕生してくれたので安心して退職できる。うれしいこと、悲しいこともあると思うが、神様から健康をいただいて頑張ってほしい」と新しい神司を激励した。
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