第35回危険業務従事者叙勲 八重山関係3氏
- 2020年10月10日
- 地域・教育
政府は10日付で警察官や自衛官、海上保安官、消防など危険性の高い業務に尽力した個人を対象とした「第35回危険業務従事者叙勲」の表彰者を発表した。八重山関係は、瑞宝双光章に警察功労で元警視正の新城格さん(71)=中頭郡西原町、竹富町波照間出身=と防衛功労で元2等海尉の田中伸二さん(61)=石垣市登野城、福岡県出身=、瑞宝単光章に警察功労で元沖縄県警部補の山里盛右さん(71)=同白保=が選ばれた。県内では43人、全国では3658人が表彰される。
■警察功労・瑞宝双光章 新城格さん(71)
【那覇】八重山高校を卒業後、1970年に当時の琉球警察に採用。那覇署を振り出しに八重山を含む4署に勤務し警察庁など県外勤務も5~6年経験した。
84年には初代警備課長として八重山署に赴任。新石垣空港建設問題で対立する市民の対策や尖閣諸島警備にあたった。新空港問題は「賛成と反対の嵐が吹き荒れた。懐かしく厳しく、つらい思い出」と振り返る。2000年の九州・沖縄サミットでは、警備局サミット事務局で県警や全国警察との連絡や調整を担った。
受章に「子や孫にも引き継いでいける名誉。支えてくれた周りの人たちに感謝したい」と喜びを語った。
現在はりゅうせきのCSRアドバイザー、日本防災士会沖縄県支部の顧問を務め、労働安全衛生や防災の面で県民の社会生活をサポート。「できる範囲で続けて頑張っていきたい」と抱負を語った。
■防衛功労・瑞宝双光章 田中伸二さん(61)
海上自衛隊所属だった兄の影響で19歳の頃、自衛隊に入隊。翌1981年、沖縄県にある海上自衛隊第5航空群での勤務が始まった。退官までの34年間、周辺海域の海上防衛、災害派遣での人命救助活動に尽力した。
主に第5航空隊、第5整備補給隊で勤務。航空隊は周辺海域の海上防衛や、災害派遣が主な任務。補給隊は航空機(P―3C)のエンジン、機体整備などを行う組織。
航空隊時代は、海上での転覆船などの捜索活動を行った。フィリピン沖で四国地方の4倍もの広大な海を捜索したこともあった。
捜索活動の心得は「要救助者に家族がいる」ということ。「家族の悲痛な叫びや思いが、私たちの集中力につながっていることは間違いない。34年勤務して今でも記憶に残っている。それだけ緊張感があった」と振り返った。福岡県小郡市出身。
■警察功労・瑞宝単光章 山里盛右さん(71)
八重山農林高校を卒業後、農業、本土での運送業を経て神奈川県警に採用。警察学校と実務の後、1974年に沖縄県警に入った。
刑事課で暴力団抗争や名護少女誘拐事件などの捜査にあたったほか、交通、地域、警務など多くの課を経験。「あっという間の38年だった」と振り返る。
故郷の八重山署では2度勤務。川平駐在所員を務め最後は安全運転学校八重山分校を担当し、警察官人生を終えた。叙勲に「大変光栄。辛いこともあったがやって良かった」と感慨深げに語る。
何事も「信念」を貫くことを大切にしている。歩んできた38年8カ月も「人の役に立ちたい」という信念を貫いた成果だ。「定年まで勤めあげたことが評価されたと思う。自分ながらよく頑張った」とほほえんだ。
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