天然ライブロック密漁か 総重量85.3㌔野底海岸で大量に放置
石垣市野底の海岸で造礁サンゴや岩石などの天然ライブロックが買い物かごに入れられて放置されていたことが4日までに分かった。ことし8月26日、観光客が発見し、八重山警察署に通報した。同署と石垣海上保安部、八重山農林水産振興センターの職員が現場で確認したところ、総重量は85.3㌔だった。何者かによる密漁とみられる。
同センターによると、岩石は1個あたり100㌘~2㌔。なかには生きた造礁サンゴが付着しているものもあったという。
職員らは現場で待機したが、放置していた人物が現れなかったため一時持ち帰り、石垣市水産課の許可を得て市種苗供給施設で保管。その後、放置した人物の特定ができなかったため、9月3日に現場海岸へ運び、海中に戻した。
漁業権内での天然ライブロックの採取は県漁業調整規則で制限されており、県知事の許可が必要。違反した場合は最高で罰金200万円、もしくは懲役3年が科せられる。
八重山漁協が同海岸付近での岩礁破砕について同意した事実はないことなどから、同センターは密漁の可能性が高いとみている。
同センター農林水産整備課の牧野清人主任技師は「近年、県内において漁業調整規則違反や漁業権侵害にあたるイセエビ、シャコガイ、タコなどの密漁が問題となっているが、この案件も規則違反にあたる可能性が高い。引き続き情報収集に努め、石垣海上保安部や八重山漁協と連携し、対応していきたい」と話している。
ライブロックは観賞魚のすみかや水質の安定などのため水槽の中で入れて使用される。ペットショップなどで販売されており、近年は通販サイトでも売買されている。養殖ライブロックにはタグやラベルが付いているため、購入する際には漁協が発行する証明書などで適正に養殖されたものかどうか確認することができる。
【天然ライブロック】
サンゴ礫のかけらやサンゴの死骸などに藻類や微生物が付着したもので、海にあるサンゴ礫や岩などはすべてこれに当たり、採取が禁止されている。養殖ライブロックは、人工物の擬岩の表面に藻類や微生物を付着、養殖させたもの。
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