世界初、船にユーグレナ燃料 石垣港で試験航行
ユーグレナバイオディーゼル燃料を給油した八重山観光フェリーの大松宏昭社長(中右)とユーグレナ執行役員の中野良平氏(中左)ら=10日午前、ユーグレナ石垣港離島ターミナル

ユーグレナバイオディーゼル燃料の特徴について説明する尾立維博氏=10日午後、ユーグレナ石垣港離島ターミナル
日本をバイオ燃料先進国にするユーグレナ社(出雲充社長)の「GREEN OIL JAPAN」宣言に賛同する八重山観光フェリー(大松宏昭社長)は10日、同社のバイオディーゼル燃料を使った船舶の試験航行を石垣港で行った。出港式で大松社長は「八重山でもバイオディーゼルの船を走らせたいとの思いがあった。宣言に賛同し協力していきたい」と述べた。
ユーグレナバイオディーゼル燃料は、微細藻類ユーグレナ(ミドリムシ)と家庭や飲食店などから排出される使用済み食用油を原料に車や船舶などのディーゼルエンジンに従来の燃料と代わって使用することができる。
硫黄成分を含まないことや他の代替燃料に比べて地球温暖化の原因となる温室効果ガスの排出が少ない利点が挙げられる。
また、既存のディーゼル燃料と品質や性能が同等なことからエンジンの改造や載せ替え、給油インフラの更新なども不要となり利用拡大と普及が見込まれている。
八重山観光フェリーとユーグレナ社では同バイオディーゼル燃料の本格導入を見据えており、国際的な環境規制に対応するため今回の試験航行で同燃料の使用推進を図りたい考えで、ユ社執行役員の中野良平氏は「石垣島産のユーグレナと使用済み食用油を原料にした地球環境に優しい燃料だ。継続的に使っていただくことで観光客や住民もエコに貢献できる」と普及拡大に期待した。
■次世代燃料 2025年に25万㌔㍑生産 1㍑100円台で普及へ
ユーグレナと使用済み食用油を原料に生産した「ユーグレナバイオディーゼル燃料」を使った、船舶の試験航行を実施した㈱ユーグレナ。地球温暖化を引き起こす二酸化炭素(CO2)の排出量が、従来の化石燃料と比べ削減されることから、次世代のバイオディーゼル燃料(軽油)として注目を集め始めている。今後、同燃料の普及で暮らしがどう変わるか、同社執行役員・エネルギーカンパニー長の尾立維博氏に話を聞いた。
▽ユーグレナバイオディーゼル燃料と化石燃料の違いについて
バイオディーゼル燃料は原油系燃料と同様に、燃料を燃やすとCO2が放出される。その放出量と成長過程で吸収する量が同じなため、地球上のCO2は増加しないと考えられている。
▽1㍑当たりの価格は
現在、バイオジェット・ディーゼル燃料製造実証プラント=横浜市=で生産している。現在の価格は1㍑1万円。高い理由は、実験プラントでつくっているから。われわれの目標は、2025年に1㍑100円台を目指している。それにより、多くの企業や個人のお客さまへ気軽に使っていただきたい。
▽価格を下げるために
それには生産量を増やすことが重要。生産設備が大きくなるほどコストは下がる。現在は、実験プラントなので施設自体は小さい。技術を蓄積させ、生産能力を上げる大きな施設を整備し、精製コスト低減につなげていく。単価が低くなるとバイオ燃料の使用量が多くなる。使う方が増えると、CO2削減につながり環境的な貢献になる。25年に商業プラントを稼働させ、現在(125㌔㍑)の2000倍に当たる25万㌔㍑の生産を目標に掲げている。
▽他のバイオ燃料よりユーグレナバイオ燃料が優れている部分は
諸説あるので絶対とはいえないが、一つは食料との競合。ユーグレナは限りある農地を使わず培養できる。二つ目は同じ面積に対する収穫率。同じ面積当たりで比べると生産性はよく、収量も多い。
▽ユーグレナバイオディーゼル燃料の性能
いすゞ自動車さんのバスに使用し評価を頂いた。バイオディーゼルは化石燃料と比較し、馬力や排出ガス量も差がなく「市販の軽油と同等」と結論を出していただいた。軽油のJIS規格にも合致している。市販の軽油と性能が同じで、環境に優しいという点がポイント。
▽性能の改良に取り組むか
燃料の性能を上げる必要はないと考える。妙に性能を上げると、ディーゼルエンジンの改造や載せ替えも起こり得る。車、船など軽油を使っているエンジン系にそのまま使えるメリットがある。また、電気や水素自動車は設備投資をしてステーションを整備しなければならない。バイオ燃料は、既存のガソリンスタンドの燃料タンクで扱うこともできる。
▽供給開始はいつごろ
今年3月から供給を開始している。公共の乗り合いバス、コンビニの配送車、一般のディーゼル車で既に使ってもらっている。
▽普及させるためには
企業努力はもちろんだが、計画を加速させるために国の税制優遇措置などをお願いしたい。新しい産業を育てる意味でも、政策面で旗振りをしてほしい。
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