自治基本条例見直しへ 石垣市、審議会に諮問
中山義隆石垣市長は3日、自治基本条例の見直しを同条例審議会(会長・新里裕樹八重山青年会議所理事長、8人)に諮問した。同条例43条は5年を超えない期間ごとに見直しを求めており、前回は2015年度。この間、住民投票の実施義務を規定する28条の解釈をめぐる訴訟や市議会で廃止を求める動きがあった。初回の会議では住民投票、最高規範性、市民の定義などに疑義が出され、こうした点が見直しの対象となりそうだ。
住民投票を規定した27条、28条について有識者の弁護士は「27条と28条の兼ね合いが分かりにくい。整合しないところある」と指摘。住民投票義務付け訴訟にも触れ、「今後の紛争の火種になりかねない。変更や改廃を含めて検討すべきだと思う。28条の4分の1の要件は厳しい。地方自治法もあるので、4分の1の要件がなくなったとしても市民の権利関係を阻害するものではない」との見解を示した。
42条で「この条例は、市政運営の最高規範」と位置付けていることには別の委員から「これがなければ市政運営はできないのか」「条例がなかった場合、どのような問題点が生じるのか。廃止案まで含めて検討したい」などの意見が出た。
「市内に住み、または市内で働き、学び、もしくは活動する人」とする「市民」の定義にも「しっくり来ない」「納税者、住民登録者など、はっきりしたほうがいい。これは27条、28条にもかかわる」との指摘があった。
審議に当たり、市は見直し内容について「委員の意見をうかがいたい」と審議会に委ねる方針を伝えた。市は3回の審議会を経て答申を受け、12月定例市議会に見直し案を上程する予定だ。この間、関係団体への意見照会、市民意見の募集、議員との意見交換、パブリックコメントの実施を予定する。
中山市長は諮問に当たり、「さまざまな意見を受け、現状に即した条例に見直し、改廃を含めて助言をいただきたい」とあいさつした。
同条例は、自治の基本理念とまちづくりの指針を明らかにしたもの。市民、議会、行政の役割など、自治の定める規範として2020年度に施行された。まちづくりの基本原則、行政運営のルール、住民参加のあり方、協働の仕組みなどで構成される。
諮問に先立ち、会長に新里氏、副会長に泉水朝順氏(司法書士)を互選した。正副会長以外の委員は次の皆さん。
▽委員=小浜美佐子(石垣人権擁護委員協議会副会長)、吉本隼(弁護士法人那覇綜合・弁護士)、黒石髙子(市婦人連合会長)、平良智子(市商工会女性部副部長)、吉竹法子(公募市民)、池原優(同)
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