強制疎開地でアンガマ 戦後75年、犠牲者らを供養
- 2020年09月02日
- 芸能・文化
いしゃなぎら青年会(内原英彦会長)は1日夜、前勢岳の外山田地区で旧盆行事のアンガマを行った。戦時中、字石垣の強制避難先。マラリアに罹患(りかん)し、犠牲になった字民も少なくない。ことしは新型コロナウイルスの影響で家々を訪問できないことから、戦後75年の節目に当時の避難場所で先祖を供養した。
新型コロナ感染防止の観点から規模も縮小。役員ら計8人がウシュマイ(翁)、ンミー(媼)、ファーマー(子や孫)、地謡を務め、避難先近くの「石垣市民の森」駐車場で行った。
ウシュマイとンミーが線香を香炉に立て、ウシュマイが「今の平和な暮らしがあるのは先祖のおかげ。子や孫に平和の尊さを伝えなければならない。戦時中はマラリアの感染があったが、今の世の中もコロナで大変。早く収束させ、子や孫たちを守ってください」と方言で口上、2人で「ウートードゥ、アートードゥ」と祈願した。
ウシュマイとンミーが念仏踊りをした後、ファーマーが「いしゃなぎら口説」を披露して終了した。
内原会長(25)は、字会が8月16日に同地で主催した「沖縄戦後75年石垣住民避難地追体験」に参加しており、「場所の存在も初めて知った」と苦難の歴史を学んだばかり。
アンガマを終え、「どうやって伝統文化を残すかと考えていたところ、戦後75年の節目ということもあり、石垣字会の住民が戦時中に避難した場所でアンガマをすることにし、一生懸命頑張った。先祖も喜んでいるのではないか」と安堵(あんど)の表情を浮かべ、会場を訪れた森永用朗会長は「ぼーれー(お利口)、ぼーれー」と目を細めていた。
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