八重高野球部の初優勝を心から祝福したい…
- 2020年08月03日
- 不連続線
八重高野球部の初優勝を心から祝福したい。せっかく応援に行ったのに、新型コロナウイルスによる緊急事態宣言のあおりでスタンドに入れず、中継の画面越しに声援を送るほかなかった父母会のみなさんの心情を思うと、言葉を失う▼私はインターネットの生中継で観戦した。つい引き込まれてしまい、本コラムは八重高への賛辞で埋めるつもりになった▼しかし、県紙の報道によると、県高校総体の柔道が中止になった。野球はやるのに、柔道はできない。納得できない柔道部員がいることだろう。「不公平だ」と思ったとしてもやむを得ない▼その一方で、知事の判断に対して柔道と野球とで対応が分かれたのは健全だとも言いうる。一方は行い、他方はとりやめるということは、県の緊急事態宣言を受けて、それぞれの組織が自律的に大会の運営方針を決めたと言えるからだ▼コロナに関して下される決定に、「民」はどう応じるべきか。「個」の意思はどのように尊重されるべきか。八重高野球部に与えられたステージには、民主主義の在り方を問う黒子が隠れていたようだ▼どこか遠慮のある生ぬるい開放感に、暑さがかさむ夏。八重高ナインの勝利に躍った心の別の部分が、コロナと私の相互作用から目をそらしてはいけないのだと小声で訴えてくる。
(松田良孝)
※本コメント機能はFacebook Ireland Limitedによって提供されており、この機能によって生じた損害に対して株式会社八重山毎日新聞は一切の責任を負いません。
関連するニュース
- 関連するニュースはありません。