コロナ禍でネット通販 売り上げ伸ばす
- 2020年07月20日
- 社会・経済
新型コロナウイルスの影響で人の移動が制限された4~5月、八重山郡内でも、「ステイホーム」に伴って全国的に高まった個人通販需要をつかみ通販売り上げを伸ばした事業所がある。オンライン市場は、与那国町や竹富町など地理的不利性のある離島の離島にとってこそ「他地域と条件がフラットになる」チャンスと見る向きも。新型コロナ感染者が再び全国で増え続ける中、関係者は「備えと機動力が必要」と先を見据える。
与那国町祖納で工芸品を生かした宿や直売店など多面的に展開する草木染織工房「SAKURA YONAGUNI」(稲川留美子代表)は4、5月、全宿泊予約のキャンセルなどコロナの影響をもろに受けた。「できることからやろう」。突然訪れた4月の長い休みを、島内販売用のマスク作りにあてた。
島中に供給が行き届いた4月末、県外向けに与那国織などオリジナルマスクの通販をホームページ上のオンラインショップで始めた。もともと持っていたブログやフェイスブック、インスタグラムなどを通して情報発信。ブログ読者やSNSのフォロワーが情報を拡散し、300件以上の注文が集まった。
ブログでいち早く情報を更新するため、マスクを確実に購入したい客らが新たに登録し、ブログ読者が増えた。これも好機ととらえ、ブログ上で他商品とマスクを交互に紹介するなどマスク以外の商品の購買につなげた。
稲川留美子代表は「与那国は元から立地条件が厳しい。コロナで人通りがなくなったと嘆く声もあるが、そのおかげで他地域と条件がフラットになったとも言える」と逆説的に捉え、「第2波が来るのか、今後どうなるのか。分からないからこそ、備えと機動力が大切。動ける人がチャンスをつかめる」と話す。
竹富島でクルマエビ養殖を行うユーグレナ竹富エビ養殖㈱(新田長男代表)は3年前、農家・漁師が直接出品・販売できるオンラインショップ「ポケットマルシェ」に登録し、同サイトで通販受注を一本化している。コロナの影響で航空便の減便で県外出荷を制限されたため、3月後半からSNSの活用に力を入れた。
5月に新設したツイッターのアカウントでは、同社のエビを使った料理写真付きのツイートを紹介し、視覚的に購買意欲を誘ったり話題になっているツイートにかぶせてPRしたりするなど効果的に情報発信した。
その結果、通販の冷凍エビの受注は例年の5~6倍に増えた。さらに注目が注目の連鎖を呼んでテレビで取り上げられ、6月初旬には通常の通販量の30倍に。6月のポケマルの魚介類ランキングで1位になった。
同社の担当者は「ゴールデンウイークなどセリで値が上がる時期に出荷できなかったのは痛かったので、通販が増えたのは助かった。ただ、それでも冷凍エビの在庫が1トン残っている。長期停電の恐れがある台風が来る前になんとかさばきたい」と話す。
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