石糖新工場建設計画 県、関係機関が検討開始
石垣島製糖㈱(松林豊代表取締役社長)の分蜜糖工場が老朽化している問題で、県は6月30日、地元関係者とともに課題解決に向けた具体的な検討を開始した。新工場建設計画は、費用が莫大(ばくだい)になることなどから見通しが立っておらず、どのような形で工場の維持・存続を図っていくかが課題となる。
県は、分蜜糖製糖工場の施設老朽化や働き方改革への対応など操業に関する課題を解決するため、ことし2月に分蜜糖製糖工場安定操業対策検討会議を設置。この日、石垣市やJA、日本分蜜糖工業会、石垣島製糖などの担当者らと八重山合同庁舎で第1回石垣島部会を開いた。
製糖工場の安定的な操業に向けた生産体制や収穫体系などに関する事項を検討する。出席者によると、この日の会議では石垣島製糖の存続のためにどのような対策をとっていくか協議を進めていくことで認識を共有した。
新工場について石糖は建設費約260億円を見込んでいる。現在活用できる国の補助事業(産地パワーアップ事業)では国10分の6、県・市それぞれ10分の1の補助があるが、石糖の負担率は10分の2で52億円と多額。市とともに新工場の必要性を訴えているが、現行制度では「市も石垣島製糖も自己負担額を担う体力がないことから取り組みを進めるのは困難」としている。
松林社長によると、会議では「新工場建設が必要であるとの考え方はある程度理解されていると思う。要請行動の繰り返しで新工場はできるのか。このまま推移していく中で、これ以上の操業は無理となり、工場を閉鎖するしかないという事態は避けなければならない」として、必要に応じて設備投資計画の作成を検討する考えも伝えた。
一方、「先が見えない中で、設備投資計画が大きくなれば、企業の存続にも影響する」とも指摘、早期に解決策の見通しを付けるよう要望した。
現工場は建設から57年が経過。亀裂が多くみられるなど強度の劣化、機械の老朽化が著しい。処理能力の低下も顕著で、収穫の機械化に対応できず、製糖に要する期間の長期化に伴って作業の遅延や生産性の低下を招くなど、農業経営に支障を来しているという。
現施設での勤務体系では、働き方改革に伴う時間外労働の上限規制をクリアできない状況にもなっている。
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