オキナワモズク 世界初、4株の違い解明
- 2020年06月28日
- 自然・科学
【那覇】沖縄科学技術大学院大学(OIST)マリンゲノミックスユニットの西辻光希研究員(36)らは25日、県庁で会見を開き、沖縄各海域のオキナワモズク4株の違いをゲノム(全遺伝情報)レベルで解明したと発表した。褐藻の同一種、複数株のゲノム解読は世界初。各株に固有の遺伝子が2〜3%程度見つかり、亜種である可能性が高いことや、4株の進化の過程を明らかにした。八重山では4株と独自株が混ざった形で養殖が行われている。今後、4株のブランド化や新品種の開発などが期待される。
研究には沖縄県水産海洋技術センターが協力。冬場の海水温上昇などの影響でモズク類の生産量は不安定で、品種改良株が求められており、モズク類の進化過程の解明と海藻類初の交雑育種を行うための足掛かりとして2015年から研究に取り組んだ。
4株はOISTと同センターが16年に世界で初めてゲノム解読に成功したS株(品種名:イノーの恵み)と勝連(K株)、恩納(O株)、知念(C株)で、大きさや密度、歯応え(硬さ)などが異なる。県内では4株が混ざった状態で流通している。
研究で遺伝子を比較したところ、4株それぞれに固有の遺伝子が全体の2〜3・5%(262〜457個)存在していて亜種の可能性が高いことが分かった。
さらに解読したゲノムに存在する遺伝子を用いた分子系統解析を行い、オキナワモズクと近縁種のイトモズクが分岐して以降、S株、K株、O株、C株の順に出現したことを突き止めた。
固有遺伝子が分かったことにより株を特徴づける遺伝子の絞り込みや、温暖化に対応できるモズク株の作成などが期待できる。西辻光希研究員は「モズクをきっかけにゲノム科学的な理解が進めば。研究成果が八重山独自の株の解明にもつながるかもしれない。まずは食べているモズクに4種類含まれていることを知ってもらい、ブランド化にもつなげていけたら」と話した。研究論文は26日の「BMCゲノミクス」に掲載された。
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